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「良い攻撃は良い守備から」を体現している

――欧州遠征ではドイツ、トルコ相手に8得点を奪いました。今回の2試合は6得点1失点。攻撃の迫力がカタールW杯の頃とはまるで違います。

 今、代表はサイドからクロスを入れる際、必ず3人がボックス内に入るように言われているようです。チュニジア戦の2点目のゴールも久保からのボールに対して、上田(綺世)がニアで潰れ、守田(英正)が入ってきた中、伊東(純也)がマイナスのクロスを決めた。あれだけの人数がゴール前に入ればチャンスが増えるし、そういう練習をしっかりと積んで試合で出せているのはすごいなと思いますね。カタールW杯の時は前線の選手にボール預けて、あとは頼んだって感じだったので。

カタールW杯でも活躍した伊東純也選手 ©JMPA

――守備については、カナダ戦の終了間際に失点するなど、詰めの甘さを露呈しましたが、チュニジア戦ではシュート1本に抑え、完封しました。

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 チュニジア戦も最後、クロスからヘディングシュートを許して危なかった。日本代表は押し込まれていても繋ぐ意識が強いのですが、そこでミスして奪われてしまい、バタバタがつづく感じでしたね。親善試合だからあえて繋いだとも言えるけど。ただ、守備はカタールW杯からかなり成長したと思います。

――どういう点がカタールW杯の時と比べて進化したのでしょうか。

 カタールW杯のグループステージ・コスタリカ戦では、主導権を握って戦いましたが、どこで人数をかけてボールを奪うのか、それが明確じゃなかったんです。今は、たぶん名波(浩)さんの指導の影響が大きいと思うんですが、攻撃のための守備が完成している。高い位置で、どのように連動してボールを奪い、それをどう攻撃につなげるかがすごくスムーズ。みんなが攻守にひとつになって動けている。

 相手の縦パスに対しても遠藤(航)や守田がガツンと強くアプローチして、挟み込んで刈り取るとか、守備の迫力がカタールの時と全然違いますね。サッカーでは「良い攻撃は良い守備から」とよく言われるけど、今の代表はそれを体現しています。

遠藤航選手 ©JMPA

長距離移動の負担とリスク

――欧州遠征は、代表選手の多くが海外組ということもあり、長距離移動がなく、コンディションが良かった印象ですが、今回は欧州から日本に戻っての試合でした。久保が「きつい」と本音をもらしたのは、大きな波紋を呼びましたが、長距離移動後の試合は、何が一番きついのでしょうか。

 時差ボケですね。自分も現役時代に経験したのですが、日本に帰って来て、パっと試合をしてすぐに欧州に戻れば、それほど時差ボケは感じないんです。でも、これが4、5日ほど調整して試合をし、さらに3日置いて試合とか、今回のような2試合になると、時差ボケがようやく終わりかけた頃に欧州に戻るので、戻った時は相当にしんどいです。

 移動の際、寝るのを我慢するとか、到着したらすぐに運動するとか、いろいろするんですけど、コンディションが戻るのに1週間ぐらいかかります。体が重くなり、キレも失われるので、そういう中で試合をすると良いプレーが難しくなり、怪我のリスクも高くなる。そうなると所属クラブでポジションを失ってしまう可能性があります。