インターネットの掲示板で入居者を募集
大木さんのお姉さん(以下、姉) 出会いは2005年頃ですね。東京に出たいけどまだ経済的に家賃が払える自信がなくて、ルームシェアとかどうだろうと思い、インターネットカフェに行って「ルームシェア 掲示板」といったワードで検索して、ササポンの家の入居者募集を見つけたのがきっかけでした。
ササポン 当時はまだシェアハウスという概念が浸透しておらず、専用のプラットフォームもなかったので、掲示板で募集をかけることにしたんです。条件などを記載し、応募してきた人を直接面接していました。
姉 都心にあって、賃料が安くて、すでに女性の方も入居していて。条件がとてもいいなと思ってすぐに応募しました。でも、応募者が多かったよね。倍率が高かった。
ササポン 実はね、お姉さんのときは、別の人を入れようと思ってた(笑)。
大木 以前ササポンに「なんでルームシェアをやっているんですか?」って聞いたときは「夢を持っていたり、色々やりたいと思っている子を応援したい気持ちでやっている」って言っていましたよね。
ササポン そう。だから、はじめに想定していたのは30歳前後くらいで、地方から出てきた人。フランス人や韓国人など、外国籍の方が入っていたこともあります。「社会人なりたて」みたいな若い人は、あんまりイメージができないなと。だから(大木さんの)お姉さんは「いい子だな」と思ったけど、若すぎたから、違う人を入れようかな……と。
「モーツァルト万歳」の一言で逆転
姉 「もしかしたら知らないおじさんと住むことになるかも」と母に連絡したら、「どんな家だったの?」と聞かれ、「ピアノがあってモーツァルトの置物がある」と返答したんです。そうしたら、「いま審査中だよね? まだ入れるかわからないんでしょ。『面接ありがとうございました。モーツァルト万歳』ってその人にメールで送りなさい」と言ってきたんです(笑)。
大木 普通だったら「知らないおじさんと住むかも」に対して心配するところなのに(笑)。母は、直感も鋭いんです。要は「モーツァルトを愛している知的な人であることが伝われば、気に入ってもらえ入居させてもらえる可能性が高いかも」ということらしいんですけど。母自身、ピアノを弾くしクラシック音楽が好きなので、そこから生み出した秘策だったようです。
姉 そうしたら、まんまと。
ササポン 「モーツァルト万歳」の一言で逆転(笑)。