グラビア人生をめぐる悩みも
先に引用した志村との対談時、磯山は20代後半になっていた。対談では、「まだまだ(グラビアで)現役を続けていきますか?」という司会者の質問に対する彼女の答えから、志村と次のようなやりとりが展開された。
磯山 そうですね、見てくれる方がいらっしゃるなら続けたいです。
志村 そういうジャンルをつくっちゃえばいいんだよ。年取ってもグラビアっていう。
磯山 見たいですか?
志村 見たかねぇよ!(笑)
磯山 志村さんは、こうおっしゃってますが、見たい方がいるなら続けたいです!
「そういうジャンルをつくっちゃえばいい」という志村の言葉に導かれるように、磯山は30代に入ってもグラビアの仕事を継続する。
もっとも、本人は「結婚したらグラビアは辞める」と、ある時期からずっと公言してきた。《でも、結婚の機会がなくて続けてきたら、いつの間にか40歳が見えてきて。30代に入ったときも「やっていいのかな」っていう気持ちがあったんですが、このタイミングで、すごく悩んでいるんです》とは、今年のインタビューでの発言だ(『週刊大衆』2023年7月3日号)。悩んでいる理由は、《私のグラビア人生において、40代のプランまで考えたことがなかった》からだという。
とはいえ、ここまでグラビアを辞めずに来たのは、先の対談で彼女が言っていたとおり、それを見たい人がいたからだろう。グラビアに限らず、仕事を頑張る動機として《見てくださる方や、今まで支えてくださった人たちのためにやっています。自分のためにやっている意識は、かなり低いですね》と語っているように(『週刊朝日』2010年3月12日号)、他人あってのこの仕事という意識は強い。
大河ドラマで見せた好演
グラビアやバラエティの仕事の一方で、俳優としても活動を続けてきた。そもそも茨城の実家を出て東京に住むようになったのも、20歳の頃、早朝から撮影の始まるドラマの仕事が入ったのがきっかけだった。
20代半ばには、茨城出身だけに子供の頃から馴染み深かったという『水戸黄門』の第39部(2008~09年)に出演、里見浩太朗扮する黄門様の一行とともに旅をする水戸藩の元家老の孫娘を演じた。昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも、鎌倉を追われた同幕府の初代執権・北条時政を隠遁先で世話する女性の役で出演している。ワンシーンだけではあったが、坂東彌十郎演じる時政の尻を叩きつつも、愛情の深さが伝わってくる好演であった。