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 今年に入ってからも、3月放送のローカルドラマ『君が、おにぎり好きだから。』(中京テレビ制作)で山崎樹範演じる主人公の妻を演じたのに続き、6月公開の『愛のこむらがえり』では18年ぶりに映画で主演を務めた。そのストーリーは、磯山演じる香織が、映画監督を夢見る恋人・浩平(吉橋航也)の才能を信じ、彼の書き上げたシナリオを映画化するため奔走するという内容であった。

 監督の髙橋正弥からは出演依頼にあたり、プロットとともに、なぜ香織が磯山でなければならないのか、その思いをしたためた手紙が送られてきたという。監督は磯山のなかに、香織という人物に備わった優しさ、無私の情を見出したらしい。《“姉(あね)さん”のように叱咤するのではなく、浩平をその気にさせるため上手にやる気を刺激しながら支えてきたのが香織さんです。私の話し方、雰囲気がその像に合っていたのだそうです》と磯山は明かす(『週刊文春』2023年6月29日号)。まさに、自分よりもファンや周囲の人たちのために仕事を頑張ってきた彼女にふさわしい役どころであったといえる。

『君が、おにぎり好きだから。』(中京テレビ公式サイトより)

「ブレイクはしたくない」

 振り返ってみると、磯山のこれまでの仕事には、プロ野球・東京ヤクルトスワローズの公認マネジャーや、故郷をPRする「いばらき大使」「鉾田大使」など、誰かを応援するものが目立つ。そういう役目が回ってくるのも、他人に尽くす磯山の姿勢を信頼してのことなのだろう。デビュー20周年を迎えた2020年に、今後について語った次の言葉も、いかにも彼女らしい。

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《ブレイクはしたくないんです。いつも現状維持で。運やタイミングもあると思うんですが、この業界でとりわけ目立つポジションではないけど、イヤな感じがするわけでもない。このポジションにいたからこそ、20年も芸能界にいさせてもらえたと思っているんです。だから、あまり期待せずに、いただいた仕事を自分なりに一生懸命やるだけです》(「Asagei plus」前掲)

 とかく移り気な大衆が相手の芸能界で、現状を維持することはある意味、トップに立つよりも難しい。それは体型についても同様だ。最新の写真集『and more』でも、やせすぎず、太りすぎず、あいかわらず健康的なボディを披露しているが、きっとこれも彼女が人知れず努力を重ねてきた賜物に違いない。