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両陛下は毎回、15分ほどかけて園内を散策

 この公園には2005年以来6度にわたって美智子さまをご案内し続ける“守り人”がいる。かつて公園の整備を担当した会社に勤めていた樹木医の金原正道氏(81)だ。

「2007年11月22日は美智子さまがお一人で見えられましたが、その後は、必ず上皇さまもご一緒でした。毎回、最初にお二人は『きれいに管理してくれてありがとう』と労いのことばをかけてくださるんです。よく覚えているのは、2018年に10年ぶりにお出ましになったときのことです。美智子さまは『金原さん、お変わりなかったですか?』と温かいお言葉をかけてくださり、嬉しかったです」

2005年のご訪問 ©時事通信社

 両陛下は毎回、15分ほどかけて園内を散策される。

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「美智子さまがかつて詠まれた歌にちなんだ花や木が植えられていて、説明が添えられているのですが、それをご覧になった上皇さまが、『あの時、美智子はどうしていたの?』『これは何の時だったかな』と投げかけ、美智子さまがお答えになり歩かれます。ハマギクが植えられているのですが、その前で『これも大きくなったね』とお話しされていたこともありました」(同前)

子どもたちからの挨拶に大きな声でこたえる一幕も

 2019年4月14日、退位により当時の皇太子さまに皇位をお譲りになる直前にも、両陛下は「ねむの木の庭」を訪問されていた。そのときの思い出を金原氏はこう振り返る。

「皇位の継承を意識して、上皇陛下のお印である『榮(えい)』、上皇后陛下のお印『白樺』、天皇陛下の『梓』、皇后陛下の『ハマナス』、それぞれに合わせた植物を集め、そのとき一輪だけ咲いていたプリンセス・ミチコを中央に据えた花束をお作りして、来訪された美智子さまにお渡ししました。榮は草木が盛んに茂るという意で、特定の植物を指す語ではなかったので、ちょうど熟していた桐の実を、時が熟して交代なさるお姿と重ね合わせて代わりに添えました」(同前)

2019年のご訪問 ©時事通信社

 渡した花束を側近が預かろうとするも、美智子さまはとても気に入られたのか、園内を回って車に戻られるまで腕に抱え続けておられたという。