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 車に戻られる際には、見送っていた子どもたちから「さようなら」と声が上がり、美智子さまも身をかがめながら大きな声で何度も「さようならー」とこたえる一幕もあった。

皇居には黄色いユウスゲの花が咲き広がっていた

 金原氏は美智子さまから、皇居にお招きに与かったこともあるという。

「両陛下がまだ皇居にお住まいだったころ、美智子さまから『ユウスゲがきれいだから見にいらして』とお招きいただいたことがあるんです」(同前)

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 ユウスゲは両陛下ゆかりの地である軽井沢に咲くことで知られる花だ。

「皇居を訪れて侍従長に案内され向かった先には、白樺が茂る林の前に黄色いユウスゲの花が咲き広がっていたことを鮮明に覚えています。別の機会に『皇居のバラを見にいらして』というお誘いをいただいて、伺ったこともございます」(同前)

 そして今年の7月の「ねむの木の庭」へのお出ましでも金原氏は案内役となった。

2023年7月の訪問 提供=金原正道氏

「今年は、ちょうど『プリンセス・ミチコ』が咲いていたので、美智子さまにポプリにしてお渡しいたしました。『ありがとうございます』と受け取ってくださいました」(同前)

細かったねむの木の幹は公園全体を包み込むような立ち姿に

 例年と同じく15分ほどの散策。その中で、はじめてある光景を目にした。

「美智子さまが公園のシンボルであるねむの木の前に立ち止まられた。ずっと握っておられた上皇さまの手を放して、木の幹にそっと両手を当てて、目を伏せられたのです。短い時間でしたが、印象に残った光景でした」(同前)

ねむの木 ©文藝春秋

 開園したばかりの頃は細かったねむの木の幹も、19年たった今ではすっかり太くなり、公園全体を包み込むような立ち姿となった。その太い幹に、美智子さまはいかなる思いをはせたのか。

 配信中の「週刊文春 電子版」および10月19日(木)発売の「週刊文春」では、「《10人の秘話で綴る軌跡》“国母”の 孤独を支えた2人の心友」と題して、ご成婚から、沖縄訪問、失声症、そして最近のご様子など美智子さまの89年を紹介する。