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自販機でジュースも買えず…3年半で激変した「サイバー先進国・中国」の不便すぎる実態

外国人にとって、ますます肩身の狭い場所に…

2023/10/30
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今度は中国のモバイル決済サービスが使えなくなる

 僕がなんとか説明すると、入場ゲートにいる責任者まで話が伝わり、パスポート番号をメモしたうえでようやく通してくれました。けれど今度は、イベント内で買い物をするときに、モバイル決済サービスのアリペイ(支付宝)やウィーチャットペイ(微信支付)が使えない。アリペイもウィーチャットペイも、VISAやMastercardなどの国際クレジットカードと連携したのですが、買い物で支払える場合と支払えずエラーになる場合があり、今回は運悪くエラーになってしまったのです。

 仕方がないので現金で払おうとしたら、「現金でもらっちゃったよ……」という風にスタッフがまた困惑し始める始末。なんでイベントに参加するだけで、こんな苦労をしなくてはならないんだと思いましたね。ちなみに、イベントは人気ゲーム「原神」のコスプレーヤーが集まったり、グッズの販売を行ったり、中国の声優が来てサイン会をしたりするものでした。

 上記の2次元イベントのように、実名登録が必要なシーンでパスポートを受け付けない入力フォームや、サービス利用時の信用の担保で銀行口座の記入が必須の入力フォームがあるケースには、滞在期間中に何度も遭遇しました。

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何かあるたびに中国の身分証明書の入力を求められて詰む

 そのうえ、支払いにアリペイやウィーチャットペイが使えないケースがあるので、その際にはわざわざ財布から現金を出さなければならない。電子決済が使えないとかQRコード経由で登録できないときにモタモタしていると、後ろに並んでいる人やスタッフからジト目で見られているようで、恥ずかしいやら情けないやら。中国は、日本以上に空気を読む社会なので。

中国で生活する上でネットサービスは必須

 それならネットサービスを使わなければいい、と思うかもしれないのですが、中国はキャッシュレス化がとても普及しているので、オンライン決済などのサービスを使わないと苦労する場面が多いのです。しかもコロナ禍を経て、移動や買い物などの場面で、今まで以上にウィーチャットペイやアリペイなどの各種サービスがマストになったのです。

この自販機では現金は受け付けず、そのうえ個人情報を入れなくてはならず、筆者は利用できなかった

 日本のネットサービスは「使えれば便利」というものですが、中国のネットサービスは、少なくとも都市部においては「使えないと生きていけない」くらい、中国で生活する上では必須。これから中国に旅行予定の人は、日本で人民元を用意し、持っているクレジットカードを何枚かアリペイやウィーチャットペイに紐づけておいたほうがいいですよ。そうしないと、場合によっては旅行開始時点でネットサービスが利用できず、買い物の支払い時に詰むかもしれません。