元タカラジェンヌで公認心理師の東小雪さんが「週刊文春」の取材に応じ、「私自身も加害者だった」などと打ち明けた上で、宝塚歌劇団に蔓延っている時代錯誤の悪しき伝統について詳しく明かした。
「私自身も加害者だった」
第91期生の東さんは2003年に宝塚音楽学校に入学。「あうら真輝」の芸名で花組の男役として舞台に立ち、2006年に退団した。
宙組の有愛きい(享年25)が自ら命を絶ってから間もなく1カ月。東さんは今回、取材に応じた理由についてこう語る。
「どうして宝塚で体験したことをお話しするかというと、私自身も加害者だったからです」
人格を否定されるようなことを大声で…罵詈雑言の集中砲火
まず東さんは2年制の宝塚音楽学校での出来事を明かした。
学校では上級生を「本科生」、下級生を「予科生」と呼ぶ。予科生は、本科生から寮の掃除や挨拶の仕方など生活指導を受けるが、それらは通常の指導を明らかに逸脱したものだったという。中でも今でも忘れられないのが“爆弾ノック”だ。
「予科生を寮の小部屋に待機させておいて、本科生が扉を繰り返し蹴ったり叩いたりする『爆弾ノック』で、掃除分担や食事分担と担当毎に呼び出す。その後、廊下に並ばせて膝立ちの姿勢で叱られました。音楽学校でも、予科生は『シメ』『セレモニー』と呼ばれる“指導”を受け、時に何十人もの本科生に囲まれ、人格を否定するようなことを大声で言われる。まさに罵詈雑言の集中砲火でした」
週に1度しか入浴できないことも
圧倒的な上下関係のもとで下級生に課される規律を「予科事」という。これにより、下級生は心身ともに追い詰められていく。
「私の頃は、ノートをお札サイズにカッターで切り、そこに『本科〇〇様 ご質問させていただきたいことがあります。予科〇〇』と書いたものを渡して指導を仰いでいました。紙がキレイに切れていない・字が汚い・裏に字が透けていると難癖をつけられ、何度もやり直しになる。結果、寝ることはおろか、食べる暇もない。当時の寮は各部屋にお風呂がなかったので週に1度しか入浴できなかったこともありました」