新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同じ「5類感染症」に移行して初めてのハロウィン。

 多くの人出が見込まれるなか、東京都渋谷区の長谷部健区長は2023年9月12日の記者会見で、次のように訴えた。

「韓国と同様の事故が起きてもおかしくないと非常に危惧している」

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「ハロウィンを目的に渋谷駅周辺に来ないでほしい」

 事故やトラブルを防ぐため、区は路上飲酒の禁止や警備態勢の強化など、例年以上の対策を実施。その結果、渋谷の状況がどうなっていたのかについては『《渋谷ハロウィーンルポ》「ぶっちゃけ1年に1回だから許してよ」“本気の厳戒態勢”の街にそれでも来ちゃったレイヤーたちの本音「露出が多いからかわからないんですけど、職質されて」』で取り上げた。

©文藝春秋 撮影:上田康太郎

 では、そのときの他の街の様子は一体――。ここでは、渋谷と双璧をなす東京の歓楽街・新宿のハロウィンについて紹介する。

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賑わいを見せる歌舞伎町の一角

 10月28日(土)の18時頃、歌舞伎町周辺で一際活気にあふれていたのはトー横だった。普段から着ぐるみを身につけた若者が少なくないエリアだが、今日はいつにもまして仮装している人が目立つ。

 彼らはなぜ渋谷ではなく新宿を訪れたのか。紫色の髪をした女性に聞く。

「去年、渋谷のハロウィンで(写真左の)彼と友達になって、今日が1年ぶりの再会なんですよ。

©文藝春秋

 今年の渋谷は大々的に『来てほしくない』って言ってたから、『じゃあ新宿に行ってみようかな』となりました。ただ、コスプレしている人は、思っていたよりも少ないですね。この格好自体が恥ずかしいってことはないけど……盛り上がりがイマイチで、寂しくはあるかな」

 「みんながルールを守ってハロウィンを楽しめたらいいのにな」と語る ©文藝春秋

 そんな彼女の寂しさを解消するかのように、夜更けが近づくにつれ、コスプレ姿の若者はどんどん増えてきた。なかでも多かったのが外国人の姿だ。