1ページ目から読む
2/2ページ目

 わしはボートのことがぜんぜん分からなかったので、兄弟分が50万円賭けたり、100万円賭けたりしているのを見て、見様見真似で同じような金額を賭けていた。今でもそのときの勝った目まで覚えているが、4-6という目だった。今考えたら絶対に買ってはいけないような、いわば大穴の大穴だ。

 それがビギナーズラックだったのか何なのか、かなり大きな配当が付いて、一挙に財布に入りきれないほどの金が転がり込んできた。それから競艇は甘いな、と思ってしまい、ハマってしまったというわけだ。

 年越しの餅代の金と正月の小遣いが入ったからこっちはうれしくてたまらなかった。

ADVERTISEMENT

 結局、トータルでは何百、何千万、下手すれば何億と損をした。目を読めない人間が偶然にギャンブルで勝ち、その夢を追ってずっとハマって、家庭内離婚はおろか自己破産したりするのは、わけ無い話だと思う。

 博打も賭場荒らしや胴元をやった以外では大きく儲けていないし、所詮胴元にはいくら張っても勝てないのは分かった。

「大きなビル3つ分の金」をつぎ込んだヤクザも…

 わしの一番身近な兄弟分なんかは大きなビルを3つ建てられるくらいの金を競輪や競馬に注ぎ込んでいる。

ビル1個分の金をつぎこんだ正島光矩氏(写真:筆者提供)

 競馬は馬だし、競輪は自転車で乗る人の体調もあるだろうし、競艇は機械だ。そこは他人の目で見ても分からないし、わしみたいに素人が見ても分からないから直観のビギナーズラック以外では勝てない。兄弟分はビル3つくらいだけど、わしもビル1個は建てられたくらいの金は公営ギャンブルで失っている。

 やはり、公営ギャンブルよりも胴元と駆け引きをして度胸だけで心理戦をする手本引きが一番面白いし、場が流れるのが早いし、すぐに金になる。

 盆なんかは1、2分で一勝負終わるし早い。わしみたいな気の短い人間には丁度いい勝負だと思う。