「最近の若い子は病院に行って麻酔をかけて落とす子もいると聞くけど、それだと全く意味は無い」

 これまで指を5回詰めた、極道歴66年、元ヤクザの正島光矩氏(1940年生まれ)。いったいなぜヤクザは指を詰めるのか? そして昔と比べて、今のヤクザが指を詰めなくなった理由とは? 正島氏の初の著書『ジギリ 組織に身体を懸けた極道人生』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

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指を落とす

 丸山ゴンザレスさんと草下シンヤさんがやっているYouTube「裏社会ジャーニー」でも少し話をしたが、わしが指を落とした話をここで書いておこう。

左が指を5回詰めた元ヤクザの正島氏(画像:YouTube「裏社会ジャーニー」より)

 YouTubeに出るきっかけは、今、いろいろな面でわしの面倒を見てくれているカタギの若い子が草下シンヤさんにDMを送ったことからだった。実際に会って意気投合して、それが発展してこの本という形になっている。

 わしは指を5回飛ばしている。

 左手小指は2回、左手薬指は2回、右手小指は1回と計5回だ。

 わしは正直に全部書く、と約束しているし、実際に指は見て分かるので隠してもしょうがない。

 初めに落としたのは左手の小指だった。

 利き手の反対側の小指を詰めたら、次は反対側の小指、その次はまた反対の薬指……と、順番がある。これはヤクザとしての暗黙の了解みたいなものだ。

 指を詰めるというのは、気合を入れていないとできない。

 最近の若い子は病院に行って麻酔をかけて落とす子もいると聞くけど、それだと全く意味は無い。

 ヤクザは自分のケジメと相手、例えばそれは親分なり、兄貴なり兄弟分などだが、ほかにも若い衆の不始末や相手組織に対するケジメとして指を落とす。だから痛みに耐えないと意味がないとわしは思っている。

 ドスを使って身体の重みで一気に切るのが一般的な方法だが、そこでためらうと余計に痛みが来る。ここで一気に落とすのが男を見せるところだとわしは思う。