なぜイスラム教徒の女性たちは、髪を隠して生活するのか？ その理由を自らもイスラムの教えを実践し、現在はパリでイスラム教徒の文化を広める森田ルクレール優子氏の新刊『イスラムと仲よくなれる本』（秀和システム）より一部抜粋してお届けする。（全2回の1回目／後編を読む）
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なぜイスラムの女性は髪をかくすのか？
女性のイスラム教徒を「ムスリマ」といいます。人や国によってもちがいますが、ムスリマは大人になったら髪の毛を布で巻いて、見せないようにします。その布をアラビア語で「ヒジャーブ」というので、ほとんどの人がそういいます。ちなみに、子どもであれば、女の子は髪をかくさなくても大丈夫です。
イスラムでは「生理が始まったら大人」になると考えられています。もし、15歳までに生理が来なかったら、15歳で大人の仲間入りです。
では、なぜ女性が髪をかくしているのかについて説明します。その理由はいくつかあるのですが、その1つは「自分を守るため」です。
女性は、男性よりヘアースタイルや髪質を気にします。自分だけではなく、まわりから見る目もそう。男性と女性ではちがいますよね。みなさんも、ロングヘアーの女の子がショートヘアーになったら、ガラッと印象が変わった、ということはなかったですか？ 女性の髪がボサボサより、きれいだと、よりかわいく、美しく感じませんか？
髪以外でも、女性の体のラインがきれいだと「わー、すてき！」と見とれてしまうことがあると思います。でも、男性の髪や体に見とれることって、女性に比べたら少ないでしょう。それだけ、女性は男性よりかわいく、美しいところが多いのです。
そこで、あえて「かわいく、美しい部分」をかくします。具体的には、手と顔以外はかくします。ただし、子どもは半そで、スカートも大丈夫です。
「どうして、かわいくて美しい部分をかくすの？ 人に見せたほうがよくない？」
私もムスリマになる前は、自分をかわいく見せることにがんばってきたので、その気持ちはわかります（笑）。やっぱり女の子なら、まわりからかわいく思われたいですよね。
でも今では、すっかりイスラムの考えが好きになりました。ときどき、こうしたイスラムの考えを「女性への差別だ、偏見だ！」なんていう声も聞きますが、それは誤解です。きっぱり言いますが、じつは女性を守るためなのです。
