ひとの姿かたちが千差万別であるように、車の趣味も十人十色。多様に広がるカーライフの一端を覗いてみれば、「普通」などどこにもないことがわかるかもしれない。

 今回はカーマニアの祭典「FUELFEST JAPAN 2023」出展者のなかから、高取さん親子をご紹介。

好きなジャンルは違えど、「乗り物を弄る」という習慣は受け継がれているそう

「ジープ好き」が高じて軍用車のレストアに

 これはダッジのM37という軍用の輸送トラックで、朝鮮戦争やベトナム戦争で米軍が使っていた車両ですね。1954年に生産された車両なので、仕入れたときはほとんど鉄クズ状態でしたが、それを自分で全部バラバラにして、フレームから磨いてレストアしたんですよ。

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米軍の輸送トラックとして朝鮮戦争などで運用されたダッジ・M37

 もともと若い頃からジープが好きで、以前は三菱ジープに乗っていたのですが、軍用車としてのルーツをたどるうち、どんどん深みにハマってしまったんですよね。軍用車の愛好家ともつながるようになり、11年前に「日本ミリタリーヴィークル協会」という社団法人を一緒に立ち上げて。

 実際に自分でこういう車に乗るようになったのは、その協会の代表から「これ直してみな」と、これとは別の軍用車を譲ってもらったのがきっかけです。ほんとにボロボロの状態だったので、さすがに困惑しましたが、どこかワクワクする気持ちもありましたね。

至ってシンプルなステアリングは、現代のものと比べて細く径が大きい

 ただ案の定、妻からは「バカじゃないの、こんな鉄クズどうすんの」とこっぴどく叱られ、小さくなりながら「直して走らせます……」とどうにか説得して。

 もちろん最初はド素人だったので、YouTubeやサービステクニカルマニュアルなんかを参考にしながら、どうにか5年がかりで乗れる状態に仕上げたんですよ。

軍用車らしい無骨なリアビュー。米兵たちが荷台で揺られる姿が想像できる

 その後、協会の代表から「自分で直せるじゃねぇか、これもやってみな」と譲ってもらったのがこの車です。今では普段からこれを足にしていて、休日のお出かけなんかにも使っていますよ。さすがに、周りからの視線は少し痛いですけどね。

 息子2人は私がレストアの作業をしているのを小さい頃から見てきたからか、順調に乗り物好きに育っています。高校1年生の長男はバイク好きで、なにやらバラバラのNS-1をもらってきたかと思えば、自分で一生懸命組み立てて。ウチの子は「乗り物は一度バラすもの」と思っているのかもしれませんね。

ジープ好きが高じて、いつしか自分で軍用車をレストアするまでに

 次男はなぜかスーパーカー好きに育ち、すでに「将来はリバティーウォークに就職したい」なんて言っています。私自身は家業の運送業を継いでいるので、それを聞くたび「ウチの家業は継いでくれないの?」と思わなくもないですが……でも、2人とも乗り物好きになってくれたのは素直に嬉しいですね。