ひとの姿かたちが千差万別であるように、車の趣味も十人十色。多様に広がるカーライフの一端を覗いてみれば、「普通」などどこにもないことがわかるかもしれない。

 今回はカーマニアの祭典「FUELFEST JAPAN 2023」出展者のなかから、「RR」さんをご紹介。

バイクに代わる趣味として始めたプリウスのカスタムに熱が入る

制限のなか、できることを模索する

 自分はもともとバイクが趣味で、若い頃はCBRの400Fなんかに乗って、サーキットでライセンスを取り、レースに参加することもあったんですよ。ですが40歳のときに遭った事故が原因で、バイクには乗ることができなくなりました。

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 事故はいわゆる右直事故で、私がバイクで交差点を直進中、いきなり視界の右側からライトの光が入ってきたんです。その瞬間、「何でこんなタイミングで」と思ったのを最後に意識が途絶え、次に気がついたときには救急車の中でした。

アグレッシブなエアロで武装した50系プリウス

 とくに下半身のダメージが大きく、膝の骨が折れて飛び出ているような状態で、手術後も下肢の自由がきかなくなり、そこから生活が大きく変わりました。仕事もそれまでは運送業をしていましたが、免許条件としてAT限定かつ手でのアクセル・ブレーキ操作という制限が加わったので、別のものを探さざるをえなかったんです。

ダッシュボードを飾るアクセサリープレート

 この身体で何ができるのかを考えた末、Illustratorなんかの使い方を覚えて、今は個人でデザイン関係の仕事をしています。この車のステッカーも、多くは自作したものですね。

 仕事以外の面でも何か捌け口が必要だと思い、7年前にこのプリウスを買い、色々とカスタムするようになりました。それまで車のカスタムは妻に猛反対され控えていたのですが、この車を買うときにようやく許可が下り、納車と同時に憧れだったフルエアロを組んで。

プリウスの運転席。左手は加減速操作に使うため、ステアリングを片手で操作できるようノブが装着されている

 妻は派手な車が嫌いなので、やっぱりいい顔はしませんでしたけど、それから少しずつ車のイベントを一緒に回るようになり、今ではだいぶ許容範囲が広がりましたね。

 カスタム費用は全部で300万円くらいだと思います。まず、手でアクセルとブレーキを操作できるようにしなきゃいけないので、ディーラーを通して専門の業者さんに依頼するんですよ。補助金などはありませんから、その分の費用は余分にかかってしまいますね。

車弄りについて反対していたパートナーと今ではイベント巡りを楽しんでいる

 作業は基本的にお店任せですが、なるべく自分でできるところはやるようにしています。今もちょうど、フロントのリップを装着していたところで。ここは車検に通らない部分なので、普段は外して、イベントのたび会場で取り付けているんです。

 こういうイベントに参加していると、色んな人とのつながりができますし、カスタムの意欲も湧いてくるので、今後もこうやって妻と楽しんでいきたいですね。