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「スタッドレスを買うのはもったいない」という意見

 そもそも東京都やその周辺県において、スタッドレスタイヤの装着率はどの程度あるのだろうか。NEXCO東日本が毎年12月と1月に実施している調査を見ると、やはり降雪地帯と首都圏との装着率には顕著な差が生じている。

 2022年12月中旬の調査では、まだタイヤ交換を終えていない車も多いのか、一般的な乗用車(*1)の装着率は降雪地帯のSA・PAで73.7%、首都圏においては30.2%に留まる。

*1 この調査では「小型車」「大型車」というSA・PA上の駐車枠による区分がなされており、乗用車は小型車に分類される

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 おおむね多くのドライバーが交換作業を済ませたと思われる2023年1月中旬の調査では、降雪地帯では96.1%、首都圏は52.1%という数字だった。これはあくまで遠方に移動中の車両も多い高速道路上での調査結果であるため、関東南部などを主な行動圏とする車両の装着率はさらに低いと推察される。

 もちろんこの装着率の低さは、積雪の頻度が低いことによるものだ。一般的な経済感覚として、「積もるのはせいぜい年に1、2回なのだから、わざわざタイヤを交換するのはもったいない」という考えは頷けるし、「もし雪が積もってしまったら、運転を控えればよい」という判断も、責められるべきものではないだろう。

 しかし残念なことに、いざ雪が積もったとき、運転を自重できるドライバーばかりではないことも事実である。降雪日にSNSを覗くと、「スタッドレス履いてないけど大丈夫かな?」「雪だけどノーマルタイヤで乗り切った」といった投稿が目に入ってくる。現実に雪を前にしてもなお、「乗ってしまえばどうにかなるだろう」と、リスクを顧みず行動してしまうドライバーも少なからずいるのである。