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生理と排卵のことも話せたら、ストーリーは完結

 じつは、ここまでのストーリーには、少し省略した部分があって、それは排卵についての説明です。排卵についての説明を足すと、生理につなげることができます。こんな感じです。

 卵子は、ひと月に1回、貯蔵庫からおなかの中に出てくるよ。これを「排卵」と呼ぶの。

 排卵すると、女の人のからだは、赤ちゃんがやってくるかもしれないと思って、準備を始めるんだよね。

 でも、赤ちゃんはそんなに何度もやってこないでしょ?だから、赤ちゃんのために準備したものを、そのつど、からだから手放すというできごとが起こるの。

 それが生理なんだよね。

 ここまでくれば、ようやくストーリーは完結です。

 女性の人生と健康をサポートしたいという私の思いからすると、「一生のうちに排卵する卵子の数は決まっていて、年をとるにつれてどんどん減っていく」「妊孕性にはタイムリミットがあり、出産に適した年代がある」という話もしたいところですが、それはまた次の段階でいいのかもしれません。

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家庭での性教育のいいところ

 補足として、「赤ちゃんができるためには、男の人と女の人が必要」という話をするときに、「生き物としてそういう仕組みになっている」と言い添えていただけるといいかなと思います。というのは、妊娠することに限っていえば、特別な医療を介するのでない限り、男性と女性が必要になりますが、社会生活を送る上での「カップル」は、男性と男性、女性と女性であっても構わないからです。

 生き物としての仕組み=生物学と、人間社会の約束ごと=文化と言ってもいいかもしれません。「多様な性のあり方があるよ」ということにも触れながら、子どもの好奇心にこたえていけるといいですね。

 家庭での性教育のいいところは、途中でやめられることと、いつでも再開できることです。あまり構えずに、「お母さんがあなたぐらいのころはこうだった、こんなことを思っていた」といった昔話から始めてみてもいいかもしれません。

 教えるというよりは、相手が話したくなる、尋ねたくなる可能性を念頭に、まずは自分から話し始めてみるといいのではないでしょうか。

構成/長瀬千雅