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西武投手陣の意外な頑張り 高木勇人と伊藤翔に期待 

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/26
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オープン戦で意外な頑張りを見せた投手陣

 さて、今年のオープン戦の西武の戦いを見ていると、投手陣の意外な頑張りと外野手の熾烈な競争が目に付く。キャンプ前、辻監督は「先発の枚数と中継ぎが……」と不安を口にしていた。ところが、FAで巨人に移籍した野上亮磨の人的補償で獲得した高木勇人が先発として使える目途が立ったのは大きい。3月17日、メットライフドームで行われた古巣相手の巨人戦で7回、4安打、1失点と好投。この高木、取材での受け答えが阪神・糸井嘉男には及ばないがかなり「宇宙人的」なのだ。そのキャラで勝ち星を積み上げれば人気者になるのは確実で、いまからヒーローインタビューが楽しみ。

 試合後、ベンチ裏で巨人の鹿取義隆GMに高木の投球について話を向けたら、少し困った表情で「う~ん」と多くは語らず。一方、西武の鈴木葉留彦球団本部長は「(野上と高木はFA絡みではなく)トレードだと思っているから」とにこやかに話した。FAで流出した選手と人的補償で獲得した選手を比較した場合「五分」はあり得ず、普通3割から5割引き、と考えるべきだろう。まだ公式戦は始まっていないので、あくまでも現時点での評価だが。

巨人へFA移籍した野上亮磨の人的補償として西武が獲得した高木勇人 ©時事通信社

 中継ぎ候補のルーキー・伊藤翔もかなり期待できそうだ。3月14日、ナゴヤドームでの中日戦。先発・菊池雄星が寝違いの影響で、初回で降板したため、2回のマウンドから伊藤が急きょ登板した。準備不足からか2人目の打者・松井佑介の頭部に当ててしまった。変化球がすっぽ抜け、松井が腰を落としてよけたところに当たってしまったので不運としか言いようがない。普通ならば動揺してしまうが、この19歳はその後も平然と投げ続け相手打線を抑えた。童顔ながらもマウンド度胸は素晴らしいものを持っていることが確認できた。

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まだ19歳ながらマウンド度胸十分の伊藤翔 ©中川充四郎

 内野手は、昨年の新人王・源田壮亮と中村、浅村栄斗、メヒア、山川穂高などの強力打線が健在なので他の選手が入り込むのは難しい。外野手のレギュラーでグリグリ二重丸なのは秋山翔吾だけ。そこにグリグリをもらえそうなのが外崎修汰だ。オープン戦序盤で、ソフトバンクのデニス・サファテから本塁打を放ったのが自信になり、毎試合鋭い当たりを飛ばしている。足も速く、本来は内野手だが外野手としてのスタメンで起用されている、いわゆるユーティリティプレーヤーで重宝な存在になっている。

佐藤友亮外野守備コーチから指導を受ける外崎修汰 ©中川充四郎

 ここに、まだまだ若い元気な松井選手兼任コーチ、勝負強さに定評のある栗山、一昨年の盗塁王・金子侑司、強肩の持ち主の木村文紀などが加わり、高いレベルでの競争となっている。チーム内の激しいポジション争いがチーム力の底上げになるのは当然のこと。

 最近は、ほとんどのオープン戦をCS放送で中継してくれるのはありがたい。球場に足を運ぶファンも増えている。かつての、地元局が放送せず「見たい人は球場へ」という考えは完全な昔話。テレビで見て、球場に行く気持ちがかきたてられるのだから。

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