「堀越麗禾を一言で表すと?」「……わからない人」
小学校での好きな教科は「音楽、体育、図工、理科の実験!」と、根っからの“クリエイター”気質。走るのも好き、リズムに乗って体を動かすのも好き、人前で歌うのは恥ずかしいけれど家で『アナと雪の女王』の名曲を口ずさむのも大好きと、熱中している表現をはきはきと挙げてくれた一方で、「堀越麗禾を一言で表すと?」という問いには「……わからない人」。
「私、確信できるものが何もないんですよ。さっきもお話したように、いろんな分野に興味があるんですけど、本当に求めているものは何なのか、自分のことなのにわからない。その時の状況や雰囲気によって、性格や考えていることまで全部変わっちゃうんです。
『本当の私って何考えてるの?』って自分自身に聞きたくなる場面がたくさんある。そうやってぐるぐる考えるのは……好きじゃないです。でも、人が何を思っているかを観察するのは好きですね」
体育の短距離走で爽快感をおぼえても、「走るのが苦しい子もいるんだから」と笑顔は見せない。“確かな私”がないと言うが、その芯には、周囲への眼差しによって築かれた、確固たる思いやりがある。
「でも友達にはきっと、私のよくないところも色々見せちゃっているんですよね。だから私も勸玄のように、誰からも『優しいなぁ』と思われる人を目指したいです」
表現者として、ひとりの人間として、さらなる高みを目指す姉弟。12月には京都・南座の「吉例顔見世興行」にて、父と共に同じ舞台を踏む。市川團十郎の襲名披露と市川新之助の初舞台を兼ねた公演とあって、堀越も“舞踊家・市川ぼたん”として気合をみなぎらせている。
「京都には何度も行っていますが、南座という歴史ある舞台に立つのは初めて。とても緊張しますけど、父と弟にとって記念すべき公演なので、一生懸命頑張りたいです。
弟が演じる『外郎売』は、成田屋で代々大切にされてきた歌舞伎の十八番。9月に博多座で披露された時は観客として見守りました。いつもそうなんですけど、弟の舞台を観ると涙が出ちゃうんです」