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父や弟が一緒にいてくれる「安心感」

「母性って言うのかな、勸玄としての姿を知っているぶん『ふだんと全然違う! 新之助さんとしてこんなに立派に成長して、なんてすごいんだろう』って想いがワーッとあふれてきて……。でも、今回は私も出演者のひとり。舞台から観る『外郎売』を楽しみにしつつ、父との『男伊達花廓』をしっかりやり遂げたいです」

 来年1月の新橋演舞場では、父・弟と初春歌舞伎『平家女護嶋 恩愛麻絲央源平‐SANEMORI PARTⅡ‐』に挑む。家族3人が芝居で共演する初の試みだ。没後300年を迎える近松門左衛門の古典を新たに練り直した意欲作で、副題には母“麻央”の文字が織り込まれている。これまで経験したことがない長台詞も待ち受けると言うが、全身全霊で「家族愛」を体現していくつもりだ。

「“市川ぼたん”の時は、父や弟が一緒にいてくれる『安・心・感!』を強く感じます。でも“堀越麗禾”でいる時は、今日みたいに、初めて出会う人と初めての体験に飛び込んでいくことばっかり。これからも挑戦し続けて、“これが好き!”という確かなものを、ひとつ見つけられたらいいなぁと思っています」

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©松岡一哲

 言葉の一片ひとひらを、たしかめるように紡いだ12歳。大人びた表情と回答の余韻に浸っていると、不意に輪ゴムを手に取り「見てみて、星~!」と見事なあやとりを披露してくれた。弾けるようなあどけない笑顔に、カメラマンも「ああっ、ごめん、一瞬撮っていい!?」と慌ててレンズを向ける。

 くるくると目まぐるしく色を変えていく、可能性に満ちた新星。まばゆいきらめきに、これからも目が離せない。

写真=松岡一哲
ヘアメイク=友森理恵
スタイリング=後藤仁子

プロフィール
ほりこし・れいか/2011年7月25日生まれ。東京都出身。十三代目市川團十郎白猿の長女。2014年3月、「古典への誘い」八千代座公演の『芝居前三升麗賑』で初御目見得。2019年8月、シアターコクーン「市川會」にて『羽根の禿』の禿で四代目市川ぼたんを襲名。舞台以外でも、2021年TVドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』などに出演。今年9月放送のNHK Eテレの人形アニメ劇『まどさんとアルツのくにのハイマちゃん』のハイマ役や、同10月公開の映画『ザ・クリエイター/創造者』での超進化型AIの少女・アルフィーの吹き替えなど、声の出演にも挑戦している。