「自分から見た花は、キラキラと輝いていました」

 2020年5月23日に亡くなったレスラーの木村花さん。多くの人に愛され、レスラーとしても素晴らしい才能を持った彼女の人柄とは? その才能を間近で感じ、家族ぐるみの付き合いをしていた元女子プロレスラー・石野結さんの著書『元悪役女子プロレスラー、男になる!』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

試合後の移動中に眠ってしまった筆者にイタズラをする木村花さん。天真爛漫な性格で、かわいい後輩だった(写真:筆者提供)

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盟友・木村花選手の死

 大きく報道されたので、ご存知の方も多いと思います。

 2020年5月23日の未明。プロレスラーの木村花さんが亡くなりました。

 木村花選手と自分は、現役時代、「大江戸隊」という同じユニットに所属し、一緒に闘っていた時期がありました。自分にとってはかわいい後輩です。だから、ここからは生前いつも呼んでいたように、「花」と呼ばせていただきます。

 自分から見た花は、キラキラと輝いていました。

 誰もがうらやむような美貌の持ち主で、プロレスに関しても天性の素質がある。そして人の目を惹きつける抜群のスター性……。それでいてまだ若いのですから、いったいどこまで成長するのか、怖いくらいでした。

 素顔の花はとても天真爛漫な性格でした。思ったことをハッキリと口にするから、誤解されることもありましたが、自分にとっては素直でかわいい後輩でした。

 花とはお母さんの木村響子さんとの縁で知り合いました。自分が若手の頃から木村響子さんは目をかけてくださっていて、スターダムへの参戦が決まったときも木村さんは自分をユニットに加えてくださいました。自分がスターダムで率いていた大江戸隊は、もともとは木村響子さんが作ったユニットだったんです。

 そうした関係があったので、花のことは彼女がプロレスデビューする前から知っていましたし、3人で食事をしたりと、仲間というよりもファミリーのような関係でした。

筆者が一番好きな木村花さんとの2ショット(写真:筆者提供)

 花はプロレスデビューをした後、しばらくしてスターダムに参戦。当初は自分の大江戸隊に所属していましたが、後に独立して自分のユニットを立ち上げ、またたく間にスターの階段を駆け上がっていきました。

 自分は引退後、意図的にプロレスと距離を取っていたので、彼女と話をする機会はなかったのですが……。