現役レスラー時代、意中の女性への告白に成功したけれど、それがきっかけで家族に「トランスジェンダーであること」をカミングアウトすることになった、石野結さん。

 予期せぬ家族へのカミングアウトの機会に、石野さんはどう対応することになったのでしょうか? レスラーを引退し、現在は男性として生きる石野さんの著書『元悪役女子プロレスラー、男になる!』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

女子プロレスラーを引退し、第2の人生で「男」として生きることを決めた石野結さん ©彩図社

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初めての彼女ができる

 プロレスラーとして新しい方向を模索していたこの頃、プライベートでも大きな変化がありました。

 実はこの時期、初めて彼女と呼べる存在ができたんです。

 最初は、メールのやりとりが中心でした。なんとなく気になる存在だな、と思って連絡を取り合うようになったんですね。で、何度か続けているうちに、小学生のときにキックベースの先輩に感じたような、胸のときめきを感じたんです。

 でも、告白をするにはとんでもない勇気が必要でしたね。

 だって、自分は見た目は女性なわけです。相手はまさか自分の心が男性だとは思っていないはず。自分とこうやってメールをしているのも、単なる親しい同性の友だちとして、かもしれないんです。ここでもし「ずっと好きでした」と気持ちを打ち明けたら、「気持ち悪い」と思われるかもしれない。そうなったら、もう二度と立ち直れないかもしれない。

 彼女のことを考えると、いつも頭が堂々巡りになりました。

 でも、こういう時、自分は意外と行動にでちゃうんです。

 たぶんプロレスラーになって、精神的にタフになったのかもしれません。くよくよ考えても仕方がない。だったら、行動に出て、ダメならダメで考えよう。まさに当たって砕けろの精神です。

 それで知り合ってからしばらくした頃、メールで思い切って告白したんです。