大谷翔平(29)は11月17日、メジャーリーグ史上初となる「2度目の満票MVP」に輝いた。発表の舞台となった専門チャンネル『MLBネットワーク』の番組では愛くるしい犬との“共演”が大きな話題を呼ぶとともに、MVP恒例の記者会見がキャンセルになったことで困惑も広がった。

犬と一緒にMVPインタビューを受けた大谷翔平 MLB公式Xより

 大谷は現在エンゼルスからフリーエージェント(FA)になり、北米プロスポーツ史上初めて5億ドル(約750億円)に到達するかどうかが注目される交渉の真っただ中。その契約に関する質疑応答を回避するための措置ではないかとの見立てもあるが、大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏を中心に周到に用意された「秘策」だったとも言われている。

『MLBネットワーク』の番組にオンライン出演した大谷は、犬と戯れながら「(MVPを)取れて特別なこと」と喜びを語り、往年の名投手ペドロ・マルティネス氏ら番組出演者の質問にほがらかに答えた。

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 その裏ではエンゼルス番記者など日米のメディアが、番組の後に予定されていた電話会見の準備をしていた。FA契約の手掛かりを探ろうと、まさに手ぐすね引いて待っていたのだ。

「彼(大谷)のコントロールを超えたところにある。彼のせいではない」

 大谷が最後にメディアの前に登場したのは、8月9日。昨季に続く「2桁勝利、2桁本塁打」を達成したジャイアンツ戦の後だった。その後も2度目の右肘手術、アジア人初のメジャー本塁打王など多くのトピックがあったが、取材対応はなかった。

 

 特に今季、日本メディアは大谷の負担を配慮して「1社につき質問は1つ」という紳士協定を自主的に結んでいた。その制約がないMVP会見では、契約以外にも様々な質問が想定されていたのだ。

 しかし大谷の電話会見が予定されていた時間に、記者が指定の番号にかけてつないでも、流れてくるのは「しばらくお待ちください」の音声と保留音のみ。そして約30分後、会見中止が発表された。大リーグ機構は「彼(大谷)のコントロールを超えたところにある。彼のせいではない」と不思議な説明をするばかりだった。