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 さらに大谷と同じく満票でナ・リーグのMVPに輝いたロナルド・アクーニャ(ブレーブス)も母国ベネズエラでの試合に出場するため、電話会見を開かなかった。両リーグのMVPが記者対応をしないのは前代未聞の事態だ。

 2021年に大谷がはじめてMVPを受賞した際は、過去の受賞者と同様に記者との電話会見に臨み、その直前に日本記者クラブで「9勝、46本塁打」と二刀流で大活躍したシーズンを振り返る会見も開いている。

©GettyImages

 しかし今回は、そのいずれも開かれなかった。さる大手マネジメント会社の代理人は背景をこう読み解く。

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「この状況で大谷が会見すれば、記者の質問は移籍のことがほとんどになるでしょう。進捗状況、所属先を選ぶ基準とか、特にアメリカの記者は遠慮せずに聞いてきます。ただ、大谷サイドは交渉中のため、言えないことがたくさんある。複数球団の争奪戦とみられる現状で、特定の球団を利するようなヒントが出てくるかもしれません。

 代理人のバレロも、交渉過程をちらつかせて条件をつり上げるような手法は好みません。大谷ほどの選手の契約のまとめ方は代理人やその会社の評価に関わります。(『MLBネットワーク』の)番組でも去就への質問はNGにしていたようで、契約が成立するまでリスクを取り除きたい気持ちは理解できます」

犬の演出、アクーニャの存在で批判も回避

 一方で人気商売のプロスポーツ選手はメディア対応も仕事の一部と言えるだけに、会見をしないことが悪目立ちすることも予想された。「そこで考えられたのが、犬の演出だったのではないでしょうか」と前出の代理人はみる。

犬と共演した大谷翔平 MLB公式Xより

 確かに「大谷の犬」に対するメディアの反響は大きかった。犬種やブリーダーの存在などが報道され「大谷自身が飼っているのか、それともバレロ氏?」と飼い主も噂に。結果的に、大谷が会見を開かなかったニュースは「大谷の犬」の陰に隠れる形になった。

「もう1人のMVPのアクーニャが会見しなかったことも大谷にとってはプラスでした。MLBがリーグを代表する選手である大谷に批判が集まらないように配慮した可能性は考えられます」(同代理人)