1ページ目から読む
2/7ページ目

寝る子は育つとはよくいいましたが、睡眠は大人にも欠かせません。

そもそも、人間は寝ないと死にます。なぜ睡眠が必要なのか、睡眠中に何が起こっているのかはよくわかっていませんが、寝ないと死にます。眠れなくなる病気(致死性家族性不眠症)もあります。急にある年代から眠れなくなって、死に至ります。

睡眠は脳の休息だと思われがちですが、休息ではありません。寝ている間も脳はすごく活動しています。何をしているかはまだよくわかっていませんが、起きている間と違う活動をしていることはわかっています。

ADVERTISEMENT

生き物が寝るのは当たり前だとも思われがちですが、神経がない生き物は寝ません。

ですから、睡眠は神経と深い関係があるのは間違いありません。ただ単なる休息ではなさそうなので、睡眠はいまだに生命科学上の大きな謎です。

いずれにせよ、睡眠は病気や寿命と関係しています。睡眠をとるのはもちろん、睡眠の質が重要ではないかと最近の研究ではいわれています。そして、そのカギをオートファジーが握っている可能性があります。

夜しっかり眠るとオートファジーが上がる

「睡眠はオートファジーの活性化と関係がある」と聞くと「良く寝るとオートファジーが上がる」と思われるかもしれません。ただ、そこまで単純な話ではありません。夜にしっかり眠ることが重要です。

生き物にはそれぞれ固有のサーカディアンリズム(日周期)があります。わかりやすくいうと体内時計です。

一定の時刻がくると自然に眠くなり、一定時間眠ると自然に目が覚めます。体内時計の実態はまだ完全には解明されていませんが、少しずつ明らかになっています。

例えば、人間は洞窟(どうくつ)に閉じ込められて真っ暗な状態にずっといても、25時間周期でしばらくは行動することがわかっています。周囲の明るさに関係なく行動します。

オートファジーと体内時計に関してはハエの実験があります。ハエの体内時計でちょうど寝ている時間に睡眠状態にあるとオートファジーが上がることがわかっています。ですから、注意すべきなのは体内時計の周期に合わせて寝ることです。昼寝しても、オートファジーが上がるわけではありません。