日本の勢いが衰退
日本人には「日本=すごい国」という自画自賛がいまだに残っている。しかし、そう思っているのは日本人だけで、もうタイ人も日本をすごい国だと思っていやしない。以前のタイ人は「本当は日本のブランドの家電がほしいけど、今は金がないから韓国とか中国の安いやつにする」なんていっていたのに、今はなにがなんでも日本のブランドがいいという人にはまず出会わない。今、日本のもので大きな注目を浴びるのは和食、伝統文化やサブカルチャー、日本国内の自然だ。日本は韓国同様に強いソフトパワーを持つが、その発信力が弱い。今のタイではせいぜい和食がブームになっているくらい。あとは日本旅行だけだ。20年前は日本に働きに行きたいタイ人がわんさかいたが、今や日本は観光とショッピングへ行くところになっている。今タイ人が外国に出稼ぎに行くなら、これも韓国に目を向けている状態だ。韓国政府はタイ人の単純作業労働者に対してビザを発給しやすくしている。タイ人にとってすでに日本はアウトオブ眼中で、昔に感じられた、それこそ親日的な態度はなくなってきている。
これは、タイ人が変わったというより、日本の勢いがなくなってきているからだ。そして、いまだ日本人は「タイ人は親日家」と強く思いこんでいることで、そこにあぐらをかいてなにもしない。日系企業は会議、会議で意思決定が遅いといわれるが、日本人の気質そのものとして、危機を感じるのも遅い。
落ち目の日本人でもいつもどおり迎えてくれるタイ王国
こう書いてもまだタイ人を親日家と思う人もいるだろう。タイに来ればそういうふうに接してくれるタイ人が少なくないからだ。しかし、そういうタイ人は観光業やなにかしらの商売で日本人と接しているので、金を落としてくれる客と認識して、やさしくしてくれるに過ぎない。そして、その落とす金も今はだいぶ少なくなってきているので、徐々に相手にされなくなってきているというわけだ。
とはいえ、タイ人はそもそも他者を気にしないところがある。だから、そんな落ち目の日本人でもいつもどおり迎えてくれる。ギスギスした日本から比べたら人が温かく、だから日本人はタイがさらに好きになるのだ。