発売後大きな話題となったコミックエッセイ『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』(KADOKAWA)。本作は単なるモラハラ系スカッと漫画ではなく、実際の体験談をベースに夫の目線から描かれるエピソードと、夫自身の加害者変容の過程と苦しみがリアルに描かれ、注目を集めています。作者の龍たまこ先生に、執筆のきっかけや、男性から届いた反応などについてお伺いしました。
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――原作の中川(なかがわ)瑛(えい)氏は、モラハラ・DV加害者変容に取り組む当事者団体「GADHA(ガドハ)」の代表。GADHAの活動はどのようにして知られたのでしょうか?
龍たまこさん(以下、龍) 『日刊SPA!』の中川さんの連載を読んだことがきっかけでした。男性側からモラハラの加害者であったという発信は珍しいと思いました。ちょうど中川さんが「体験談をマンガにしたい」と発信されていたので、私からSNSで連絡を取ると、すぐに話が進みました。
――そこからマンガにするうえで特に意識したところはありますか?
龍 中川さんからは最初に、大量のエピソードのプロットをもらいました。そこから取捨選択してページごとのプロットにそぎ落としていき、その後ネームを起こすところは自分でやりました。中川さんの意向も汲みながら、マンガとして読み続けたくなるように、無駄なセリフは一つもないと言えるほど練ったつもりです。
特に意識したのは、いかにリアリティ、説得力、納得感をもたせられるかという点です。「そんなことあるわけないじゃん」と思われないように気を付けました。
視点を夫側だったり妻側だったりに変化させたのも、「同じことがら」でもこんなに見え方がちがう、というのを描きたいなと思ってのことです。
リアリティのある描写が魅力、モラハラ夫にモデルは?
――翔(夫)、彩(妻)、柚(娘)のキャラクターにとてもリアリティがあり、魅力的でした。特に翔の微妙な表情の変化を描き分けているのが素晴らしいと思います。モデルはいたのでしょうか?