岡田准一と結婚、翌年に第一子を出産
そんな大先輩のアドバイスが宮﨑の心に響いたのかもしれない。2017年に岡田准一と結婚し、2018年に第一子を出産すると、しばらく子育てに専念し、芸能活動をほぼ休業している。2020年の第二子出産後も、CMやナレーションなど拘束時間の短い仕事をメインにこなしてきた。
それが今年、第二子の出産から約2年ぶりに本格復帰し、出演作品があいついでいる。この4月より半年間放送された、NHKの連続テレビ小説『らんまん』ではナレーションを務め、さらに最終週では劇中にも登場して話題を呼んだ。彼女が演じたのは、神木隆之介演じる植物学者の槙野万太郎の死後、彼の遺した植物標本の整理を引き受ける女性という役どころであった。このとき、整理を依頼する槙野の娘を演じた松坂慶子と、『篤姫』以来、15年ぶりに共演を果たす。
宮﨑のなかではいま、「再会を重ねていくこと」がテーマになっているという。それが松坂との共演でひとつ実現したことになる。今回の『らんまん』ではそればかりでなく、制作陣にも、『篤姫』のほか、かつて出演した朝ドラ『純情きらり』や『あさが来た』(2015年)で一緒だったスタッフが大勢参加していたという。
6月には出演映画『大名倒産』が公開された。奇しくもこちらも神木隆之介が主演で、彼の母親役であった。監督の前田哲とも、宮﨑が10代のころに主演した『パコダテ人』(2002年)以来、約20年ぶりの再会となる。監督自身、20年前はまだ駆け出しの頃だっただけに、彼女は《監督も、まったく変わらず元気に作品を作っていて、私もここまでお仕事を続けてこられたことが、感慨深かったです。撮影中は『宮﨑さん』だけど、撮影が終わると昔のように『あおいちゃん』と声をかけてくださって。そんなふうに呼んでいただけるのもうれしかったですね》と、久々にタッグを組めたことを喜んだ(「リンネル.jp」2023年5月19日配信)。
ドラマ出演が少ない理由
思えば、宮﨑は、10代から映画を中心に活動を続け、テレビドラマの出演作を見ても、民放のワンクールのドラマは初期を除けばほぼなく、朝ドラや大河ドラマといった撮影期間の長いものがほとんどだ。
ドラマ出演が少ない理由を彼女はかつて、《単純に映画とそこにいる人が好きだから。家族のように1つになって、時間と思いをかけて作品を作っていく。そういう現場で育ててもらったので、いつもあそこに帰りたくなる(笑)》と説明していた(『日経エンタテインメント!』前掲号)。朝ドラや大河ドラマも同様で、そこでの《出会いや経験は特別で、幸せな時間を過ごした現場を勝手ながら“ホーム”のように思っています》と、『らんまん』制作時に語っている(『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 らんまん Part1』NHK出版、2023年)。