いまから21年前の雑誌で「『アイドルという生き方』への本音と反論を語る」と題する座談会が掲載されているのを見つけた(『日経エンタテインメント!』2002年8月号)。出席者は、蒼井優、上戸彩、ベッキーと、きょう11月30日に38歳の誕生日を迎えた宮﨑あおいである。いまとなっては、雑誌でも、作品でも一堂に会するのはちょっと難しそうな顔ぶれだ。ちなみに当時、ベッキーが18歳、ほかの3人はいずれも16歳であった。
この4人……とくに当時すでに俳優として実績のあった蒼井・上戸・宮﨑がアイドルとしてくくられているのは、いまにして思えばちょっと意外な気もする。ただ、上戸はデビュー当初、事務所の同期とともにZ-1というアイドルグループを結成していたし、宮﨑も深夜ドラマ『秘密倶楽部o-daiba.com』(2000年)でベッキーや栗山千明、松本まりか、須藤温子とともに「リアルシスターズ」を名乗って、現実のウェブサイトと連動した活動を行っていたこともあり、アイドル的な注目のされ方をしていた。
4歳のときに芸能界入り
そうした世間の見方に、例の座談会では全員が違和感を示している。そのうえで、「自分に肩書きをつけるとしたら何?」との質問に、蒼井が《自分の中では、女優》と答えたのに対し、上戸は《女優って自分の中では大竹しのぶさんだったりして、ノッポな感じだし、タレントってのも好きじゃない。だから、ドラマに出てる人、って感じ》と、まだ「女優」とは言いかねているのが興味深い。
そのなかで宮﨑だけは《私は映画が好きなので、映画女優かな。今は違う仕事もしてるけど、いつか自分のやりたい、女優っていうところに行ければいいな、って。だから、頑張れる》と言い切り、しかもはっきりと目標を掲げていた。キャリアでも宮﨑が一番長く、4歳からエキストラを始め、小学5年のときに初めてドラマに出ており、この時点ですでに芸歴が10年以上あった。
宮﨑がこのころアイドルと見られていたのは、テレビドラマにあまり出ておらず、一般的にはCMの印象のほうが強かったからでもあるのだろう。映画では、『EUREKA ユリイカ』(2001年)や『害虫』(2002年)での演技が高く評価されたものの、いずれも公開規模が小さく、内容もどちらかといえば玄人向けであった。
最年少で大河ドラマの主演に
それが、中島美嘉とダブル主演した映画『NANA』(2005年)が大ヒットしたあたりから、世間的にもこの世代を代表する女優のひとりとして目されるようになる。翌2006年にはNHKの連続テレビ小説『純情きらり』に、朝ドラでは40年ぶりにオーディションなしで主演に抜擢され、さらにその放送中には大河ドラマ『篤姫』(2008年)の主演にも決まった。『篤姫』放送開始時、宮﨑は22歳1ヵ月で、大河ドラマ史上最年少の主演となる。