Q なぜカタールが“仲介役”なのですか?

 11月22日に「イスラエルとガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは合意に基づいて、少なくとも4日間の戦闘休止をする」ということを、カタール政府が“仲介役”として発表していました。なぜ、カタールが仲介役なのですか?(10代・男性・学生)

カタールのタミム首長 ©時事通信社

A “なんでもあり”の生き残り戦略なのです

 それは、湾岸諸国の中でも小国のカタールの生き残り戦略なのです。

 カタールの場所を見ると、アラビア半島から突き出した小さな半島です。周辺にはイスラム教スンニ派の大国サウジアラビアがある一方で、近くにはシーア派の大国イランも存在しています。また、周辺にはイスラム過激派が活動している国もあります。そこでハマド前首長が採用した戦略が「全方位外交」です。要は“なんでもあり”です。

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 カタールは小国で兵力も限られていますから、米軍の駐留を受け入れました。空軍関係の兵士約1万人が駐留しています。米軍の存在があれば、周辺の国はうっかり手を出せません。

 また、中東で唯一「ニュースなら何でも報道する」という立場のニュース専門チャンネル「アルジャジーラ」をハマド前首長のポケットマネーで設立しました。中東あるいはアラブ諸国の放送局の多くが国営放送で、政府の方針通りの退屈な放送をしていたところに、各国政府の方針に忖度しないニュースを報道したため、各国はカタールをうっかり批判しづらくなりました。

 さらにイスラエルとも以前から経済的関係を維持しつつ、ハマスの政治部門のトップの滞在を許し、事実上のハマスの大使館のような役割を容認しています。

 その結果、カタールが仲介役を果たせるようになると、各国はますますカタールを大切にするというわけです。 

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カタールとはどんな国?|池上彰

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