世界一に輝いた2023年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本中を熱狂させ、その後の公式戦でも「二刀流」で異次元の活躍をみせ、世界中の野球ファンを魅了した大谷翔平のメジャー6年目が終了した。打者として44本塁打を放ち、日本人選手として初のリーグ本塁打王に輝いただけでなく、OPS(出塁率+長打率の打撃指標)が1.066とメジャー全体の1位を記録。投手としても2年連続2桁勝利となる10勝を挙げた。

SNSで語った「不本意ながらシーズン途中で…」

 右肘靱帯損傷のため8月23日を最後に登板せず、さらに右脇腹痛に見舞われて打者としても9月3日が最終戦となったにもかかわらず、全米野球記者協会所属の記者による投票により、本稿執筆時点で21年以来2年ぶり2回目となるリーグMVPの最有力候補とされる。それほど、大谷が投打で残した成績はメジャー最高レベルの領域に達していた。

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 不運な形で23年シーズンを終えたが、24年以降へ向けた切り替えも速かった。投打ともにプレー継続を断念した後、9月19日にはロサンゼルス市内のカーラン・ジョーブ整形外科クリニックで右肘の手術を受けた。施術の詳細は明かされていないが、前回18年10月の手術で移植した腱の修復と同時に、新たに自分の別の腱を移植して、そこに人工靱帯で補強する「ハイブリッド手術」だったと見られる。術後には大谷自らインスタグラムを更新し、今後へ向けて心境を綴った。

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「早朝に手術を受け無事成功しました。不本意ながらシーズン途中でチームを離れることになりましたが残り試合のチームの勝利を祈りつつ、自分自身一日でも早くグラウンドに戻れるように頑張ります」

 2度目の手術でもあり、復帰成功率を不安視する声も囁かれる一方、執刀医のニール・エルアトラッシュ医師は手術後に、「大谷の完全な回復を期待している。2024年の開幕には制限なく打てる状態になり、2025年の開幕には二刀流として復帰できると思う」と、今後の見通しを明かした。