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「苦手だ」って口に出して言わない

 あと、今から伝えるのはよしおが大人になってから身につけた、とっておきの手段なんだけど……それは、「一回忘れる!」こと。「友だちの口調がきついな、苦手だな」って思うこともやめて忘れるの。「忘れる」の積極的な使い方だよ!

 っていうのもね、よしおが思う、苦手な人やものと向き合うコツがあるんだ。それは、「苦手だ」って口に出して言わないこと。

 例えばはるるちゃんが口調のきつい友だちのことを別の友だちに「あの子口調がきつくて苦手なんだ」って言ったとするよ。そうするとどうなると思う? ひとたび言葉にしてしまうと、「苦手だな」って気持ちがどんどん大きくなってしまうんだ。

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 苦手だ、って他の友だちに言ってしまった以上、仲良しに戻るのも気が引けてしまう。場合によっては、苦手な友だちの悪い情報を他の友だちが集めてきちゃうこともある。「〇〇ちゃん、さっきこんなこと言ってたよ」とかね。

 実際、よしおも「苦手だな」って他の人に言ってしまった相手とは、うまく話せなくなって関係が元に戻らなかったことがあるよ。

 だからきついな、苦手だな、って思っても口には出さず、忘れるの。名づけて「長い目で見る(意味:今の状態だけで決めつけないで、急がず時間をかけて先を見守る)作戦」!

 10年後や20年後、今のクラスメートとは永遠に“同級生”っていう関係が続くんだ。もし今すぐ前みたいに仲良しに戻れなくても、何年後かに元通りの関係に自然と戻ることができるかもしれない。人の気持ちって一瞬一瞬変わっていくものだから、友だちの態度も今だけかも。

©松永卓也(朝日新聞出版、写真映像部)

できない方法は無理にチャレンジしなくてもいい

 忘れるってどうすればいいんだろう?って思うかもしれないけど、きつい口調なんて気にしてませんよ、って顔でふだん通りにふるまってみるんだ。

 それで友だちの態度が変わらなくても、それさえ気にしてませんよ、って顔をしていればいい。今、はるるちゃんが住んでいる世界は学校と家がほとんどかもしれないけど、未来にはもっとたくさんの世界がある。そう思って長い目で見てみるのもいいと思うよ。

 ここまでいろんな方法を提案してみたんだけど、どう思ったかな? これはできないな、っていう方法は無理にチャレンジしなくてもいい。だけど、はるるちゃんが友だちとこれからどういう関係をつくっていきたいのか、そのためにはどうすればいいのか、はるるちゃん自身が考えるきっかけになってくれたらうれしいな。

 ……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?

 気持ちが重くつらくなってしまったら、「忘れる」という方法も使ってみて!