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 同じ意味の言葉でも、タイミングや言い方次第で相手に届くかもしれない。友だちが何かに集中しているときとか夢中になっているときって、“聞く耳バケツ”が他のことで埋まって、いっぱいいっぱいなのかも。

 友だちの“聞く耳バケツ”の中身がカラのとき、例えば帰りの会が終わってホッとしているときとかに「あのときのあれはこうしたらいいと思うよ」って話してみるのはどうだろう。

©文藝春秋

どれだけ一緒の時間を過ごしていても気持ちの“ズレ”が生まれる

 よしおは奥さんとずっといい関係でいるために、1カ月に1回、ふたりで話す時間をつくっているんだ。お互いが普段思っているけど言えないことを伝え合って、聞き合うんだ。

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 家族とかクラスメートとかお仕事仲間とか、どれだけ一緒に過ごしている相手だったとしても、一人ひとり違う人間だから、思っていることや感じていることがズレてくる。いつも一緒にいる相手に対して“慣れ”が出てきて、礼儀を忘れてしまったりもするね。

 でもそれに気づくのって難しいよね。よしおは前に、友だちから「ダイエットをしたい」っていう相談を持ちかけられて、「よし! じゃあ食事制限と運動だー!」と張り切ってかなり厳しい内容を課したことがあるんだ。

 その友だちは、はじめは楽しくやれていたんだけど、だんだん嫌になってきちゃって、途中から「やめたい」って思うようになっていたみたい。でもよしおはそんな気持ちに全然気が付かずに、さらに厳しくしてしまっていたんだ。

 結果的に、それが原因でケンカになって、仲が悪くなってしまったんだよね。ダイエットを成功させたいという最初の思いは一緒でも、だんだんズレてきてしまっていたんだ。

口で言うのが難しいときは、手紙で伝える方法も

 人の気持ちや考えっていうのは日々変わるから、よしおがちゃんと確認していればよかったと今ではすごく反省しているよ。そのときに、身近にいる人ほど、思っていることを確認しなきゃいけないな、って思ったんだ。

 もしかしたらはるるちゃんも、どこかで友だちとの気持ちに距離やズレが生まれてしまったのかもしれないね。

 思い切って、自分に対してどう思っているのか友だちに聞いてみるというのはどうだろう? 「きつい言い方されてつらかったんだけど、わたし何かしちゃったかな?」って。正直で誠実な気持ちが一番届くってよしおは思う。

 でも、その友だちに話しかけづらいなっていうときは、無理はしなくて大丈夫。口で言うのが難しいときは手紙に書いて伝えるっていう方法もあるよね。