40代の中絶が多い
ふじさわ 雑誌「VERY NAVY」の方が取材してくださったときに、40代の中絶やリプロダクティブ・ヘルスの特集を何回もしてるそうで、その方にミレーナやIUDを入れてるご友人の話も聞いたんです。すごく快適になる方もいるし、数ヶ月出血し続けて抜いた方もいるし、本当にいろいろなんですって言っていて。
確かにお腹に何か入れるのは合う合わないもあるだろうし、そもそも手術できる人とできない人がいると思いますし、費用感とかも全然知らなかった。実際に使ってる人の声なんて聞いたことないから。
例えば赤ちゃんの産み落とし事件のニュースに対して「ピルでも飲んどけ」みたいなリプライやヤフコメがついちゃうじゃないですか。でもピルだって血栓症のリスクがあるから持病によって飲めない人はいるし、毎日同じ時間に同じものを服用するのは発達障害や精神疾患のある人にとってはすごくハードルが高い。
『射精責任』にも出てきてましたけど、病院を予約して受診して処方箋もらって受け取った薬を毎日同じ時間に……って、その過程を知れば、簡単に人に「やればいいじゃん」なんて言えるもんじゃないってわかると思うんですけど。
小野 ピルは日本ではまだ薬局で販売されてないですもんね。「ピルでも飲んどけ」っていう前に、お前も「コンドームつけとけ」って話ですよね。
一同 (笑)。
村井 それを『射精責任』は1冊かけて書いてるんですよね。ピルよりも安くてもっと簡単だからコンドームちょっと頼むよ、っていうのが「射精責任」だと思うんですけどね。女性は妊娠しちゃったらこれだけ大変なんだからってことが、なかなか男性に伝わってないのが今の現状かなとは思います。
さっきふじさわさんがおっしゃってましたけど「VERY NAVY」の記事で、10代よりも40代の中絶のほうが多いと知ってさすがにショッキングで。40代女性の中絶が多いってことは、同世代や上の世代の配偶者・パートナーが避妊をしなかったってことですよね。
今の40代の女性でも「避妊して」って言えなかったんだなっていうのが悲しいし、まだ言わなくちゃいけないんだっていうのも悲しいし、なかなか難しいですね。もう十分な大人って思っていた40代、50代でさえそうなんだ、という。結構道のりが長いなって思います。
小野 成熟しといて、なんでそれができないのって思いますよ。
ふじさわ みんな関係ないと思ってるんですよ。自分は妊娠しないと思ってるから、避妊せずにセックスして、妊娠しちゃってから焦る方が40代以降は多くって。
村井 それは女性自身が自分の体のことをちゃんと把握できていないっていう面もあるのかもしれないけども、でも防げることなのでね。
小野 夫婦間DVとかもありますもんね。
村井 そうそう。どうしても私達は若い世代に向けて語りがちなんだけど、実際は自分たちに降りかかってる問題なんですよ、これって。私達もちゃんと考えなきゃいけない。
小野 そうですね。当事者ですね我々は。
村井 そうそう、当事者だったなと思う。