中野 これってけっこうちゃんとした実験があって、人って相手が手の届かない人なら許せるんですよ。
デーブ そうなんだ。
中野 そう、例えばエリザベス女王とかだったら誰も何も言わないでしょう。だけど、この人のレベルなら手が届くかも、私もがんばればできるかもっていう感じがどこかにあると、あいつ何様?ってなっちゃう。
デーブ デヴィ夫人は元社交界だからいいんだよね。ガチでパリとかニューヨークの社交界にいたんで。あんな派手な家具とかもみんな揃えないしね。
中野 そういうことです。たいていの人はああはなれないから。
デーブ なれない。だから許されちゃってるんだよね。加山雄三とか? ヨットで許されちゃう。
中野 あとは才能が飛び抜けてるとかですよね。
デーブ ああ、桑田(佳祐)さんとかか。どんな豪邸住んでても許される。
中野 お金持ちになったら、手の届かないくらいお金持ちにならないといけない。
デーブ 日本だとふつうに金持ちになると嫌われちゃうね。ネットでタレントがちょっとでも自慢するとすごいバッシングされる。でも外国人と結婚して海外に住むとかならセーフかな。中村江里子みたいにフランス人と結婚した場合はどんなに豪華な生活しても許されるじゃない。
中野 確かに。お金を私たち、すごくいけないもののように扱いますよね。お金の扱いもちょっとコンプラに入るかもしれないですね。アメリカはいいんですか、自慢。
デーブ 全然。要するに誰でも稼げるチャンスがあるわけですから。日本って努力して稼いでも言われるからね。顰蹙買う。だから、そこは難しいんだよね。
中野 難しいですね。
デーブ 例えば、お金いくらでもあるようなタレントがテレビで「いやあ物価が高くなって、私、スーパーでなるべく安い野菜を買ってるんですよ」って。そんなことあるかいと僕なんか思うよ。誰って言わないけど。おまえは買えるだろうよ馬鹿野郎って。ところがアメリカでキム・カーダシアンみたいな、稼いでるお金持ちはお金持ちで許されてるんです。そういうわざとらしいことを言わない。
中野 でも日本では言いづらいのもわかる。
デーブ そう、僕自身、出演してる時もね、気遣いすぎもわざとらしいし、あんまり言って、迎合主義にも思われたくない。それもイヤなんだよね。テレビってそうじゃない? そこが難しい。
勝っちゃったら「すみません」
中野 お金のことで言えば、「僕、こんなに稼いじゃってごめんなさい」って言ってた人がいて、何で謝るんですかって聞いたら逆に固まられちゃって。謝らなくていいですよと思うけど。
デーブ 日本で宝くじの仕事したことあるんですけど、射幸心煽ってはいけないって言ってて、だからCMだけは派手でも他はほんと地味ですよね。射幸心、難しい言葉ですけど、確か仏教か神道の言葉だけど、英語にはないですよ。日本はラッキーを喜んじゃいけないのかね。高額当選者、発表しないじゃないですか。アメリカはみんな、名前も写真も出て「ラッキー! こんなにお金もらったよ」ってうれしそうにしてる。国民性も違うけどね。