中野 発表しちゃって狙われたりしないんですか。
デーブ ちゃんとシステムがあるから。現金あげないし。
中野 あ、そうなんだ。
デーブ 分割で毎年もらうとか、アドバイザーがいて失敗しないようにアドバイスしてくれる。日本は1000万円以上の高額当選者には『【その日】から読む本』って冊子 が渡されるんですって。ローンは返済した方がいいとか仕事はやめない方がいいとか無駄遣いに気をつけろとかアドバイスが書いてあるらしい。
「僕だけ勝っちゃってすみません」
中野 あれに似てますよ。ホールインワン保険。
デーブ 似てる。あれ面白いね、日本しかない。あれも罪悪感から来てるでしょ。
中野 「僕だけ勝っちゃってすみません」。
デーブ うれしいはずなのに保険ってね。記念品贈ったり祝賀会開いたりするからお金かかるだろうけどさ。ホールインワンにそんなにお金かけなくたっていいのに。あ、でも僕1回、テレビ局のスクープ映像賞を頂いたんですよ。特別賞。すごくうれしくて、中に3万円か5万円、現金が入ってた。もちろんコーナーのスタッフ、作ってくれてるからご馳走しないといけない。それでしゃぶしゃぶ行ったら赤字出た。いや、それでいいんですよ? かえってその方がいい。
中野 そうですね。セキュリティだから、それは。
デーブ セキュリティ? 美徳じゃなくて?
中野 こっちは赤字で大変ですっていうふうにしとくと責められなくてすむ。
デーブ そうか、それもあるね。
中野 文化人類学のリサーチで、カラハリ砂漠ってあるじゃないですか。
デーブ アフリカの南の方ね。
中野 あそこの部族の人々は、みんなで狩りに行くんだけど、もちろん狩りがうまい人もいれば下手な人もいて、運も左右する。その日いっぱい獲れた人とそうじゃない人が出ちゃうじゃないですか。その時に、「おまえ、今日どれぐらい獲れたの」って聞かれたら、「まあまあだよ」って答えるって言うんです。
デーブ 「ぼちぼちでんなあ」?
中野 そう。運でも腕でも自慢しちゃダメなんです。自慢すると後ろから撃たれるかもしれない。獲れなかった時は獲れなかったって言うんだけど、決して自慢してはいけない。それで、獲れた分はちゃんとみんなで分ける。そういう文化らしい。
デーブ みんなで分けるんだ。
中野 そのコミュニティがかなり限定的で、他に出て行けないからだそうです。
デーブ なるほど、日本と似てるかもね。日本は島国で他にあんまり出て行かないし。