「ただ、どこのメディアも最高裁の結果くらいはきちんと報じるべきだったでしょ。そこはもうメディア側の忖度だよね。あるいは事務所の力」(デーブ・スペクター)
2004年に最高裁でジャニー喜多川氏の性加害が確定したにもかかわらず、なぜ20年近くも問題が放置され続けたのか……? その理由を、脳科学者の中野信子氏とデーブ・スペクター氏の対談を掲載した新刊『ニッポンの闇』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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「ジャニーズ問題」について思うこと
中野信子(以下、中野) 日本のテレビの世界は忖度だらけってよくデーブさん言いますけど、その最たる例と言っていい問題が……。
デーブ・スペクター(以下、デーブ) ああ、「ジャニーズ問題」ね。
中野 芸能界で40年生きてきたデーブさんに読者が聞きたいことって2つあると思うんですよね。ひとつはデーブさんだけが知る裏話、裏事情。
デーブ そりゃあるけどこういうとこでは言えないよね。言えたら裏じゃないもん。
中野 まあ、裏が取れてる話なら報道されてるし、真偽定かならぬ話だから表に出せないわけですしね。とはいえジャニー喜多川氏の件も、だからこそ表面化しなかったわけですが。刑事事件の犯人じゃないし、あえて「氏」と呼びますけどね。
デーブ まあいいんじゃない? この本では基本、「敬称略」で。ジャニーとジャニーズ事務所がジャニーの「ホモセクハラ」を報じた週刊文春を名誉毀損で訴えたじゃないですか。それで最高裁でジャニーの性加害が確定したのが2004年か。その時、誰がどんなことされたとかいろんな話が法廷で出たけど、それすら日本の大手メディアはろくに報じなかったものね。東スポと日刊ゲンダイはやったけど。
中野 話逸れますけど「性加害」って言葉も不思議ですよね。「性被害」ならともかく。
デーブ 聞いたことない言葉だよね。ふつう「性暴力」「性的虐待」でしょ。
中野 で、なんかないんですか、言えること。
デーブ いろいろ聞いてますけどね、裏取れてないから。まずいでしょ。手を出されるのがイヤになって○○と××がジーンズ二重に穿いて諦めさせたとかっておっかしいでしょ? そんな話はいくらでもあるけど、でも誰も確かめようがない。確かめられます? 本人に、ジーンズ二重に穿いてたの?って。