中野 そういう経験を「武勇伝」みたいにしちゃう人もいれば、深刻なトラウマになってしまう人もいる。個人差もさまざまだから、なおさら表に出しづらいということもあったのかもしれない。
デーブ 一方で「枕営業」みたいな言葉もあるしね。実際、そうやって芸能界で自分の居場所を作るきっかけにする人もいる。男性だって女性だって、誰とは言えないけど。
しかもそれって別に芸能界に限ったことじゃないし、日本に限ったことでもない。ただ、この問題がおぞましいし、深刻なのは、相手が未成年だってことですよ。子供相手だったってこと。それはね、人生を変えてしまうくらい大きなことで、そこはほんとに罪ですよ。
中野 しかもそれが何百人、もしかしたら4桁になるかもしれない。
デーブ きちんと報じられていたら、ジャニーの行為も止まって、そこまでの被害は出なかったかもしれない。そこはやっぱりメディアの罪だし、検証しないといけない。
あまりに深刻な日本の「児童の性的被害」
中野 これはジャニーズの問題に限らないですけれど、児童の性的被害の問題って日本はけっこう深刻なんですよ。1999年の日本性科学情報センターによる日本で初めての大規模調査(『子どもと家族の心と健康』調査報告書)では18歳未満の女子の39.4%、男子でも5.7%が性的被害を受けているっていうんですね。性的被害の影響としてはPTSD、解離性同一性障害をはじめとする精神疾患、自殺念慮、薬物濫用などが指摘されていて、性的被害を告発した元ジャニーズのメンバーにもそうしたことを告白している人もいましたから、その人の人生に及ぼした影響は計り知れないですよね。
デーブ ジャニーの場合、同性からの被害だしね。自分の性的指向がわからなくなってしまう人もいるかもしれないし、性暴力を「魂の殺人」と言う人もいる。イギリスのBBCでも、有名番組の人気司会者による少年、少女への性的虐待が発覚したんですが、これも被害者が70人以上ですよ? ひどい話です。2011年にその司会者は亡くなってるんだけど、BBCは徹底的に検証しましたよね。