学校現場のみならず、塾や学童などでも相次ぐ性犯罪に、こども家庭庁の有識者会議では日本版DBSの導入が議論され、9月には報告書がまとめられた。
DBSとはイギリスで生まれた仕組みで、子どもに関わる仕事に就く際、DBS(犯歴等データの照会サービス)の証明書をOfstedという教育監査機関に提出して、個人登録をすることが求められるもの。小児性犯罪の再犯を防ぐことが主な目的だ。
日本でのDBS導入は今年の臨時国会への提出は見送られたものの、有識者会議の報告書は、学校や保育所は義務化する一方、塾や学童は認定制度になる案を提示するなど議論は継続している。
もちろん日本版DBSが実施されても、それにより初犯を防ぐことは難しい。被害者を増やさないためには学校などの公的機関はもちろんのこと、塾・民間学童などの運営事業者側にも、密室に二人きりになることを防ぐ仕組みを導入するなどの意識改革が必要だ。
代表取締役に対して質問をしたが、回答は…
この点について、ウィズダムアカデミー代表取締役に対して「急速に校舎を増やしているように見えるが、管理体制や人員採用・教育等で不十分だったと感じる点はあるか」「DBSの認定制度があれば利用したいと思うか」との質問をしたが、回答は得られなかった。
日本ではすでに夫婦がいる世帯のうち7割が共働きになっているというデータもあり、小学校が終わってから保護者の仕事が終わるまでの時間を任せられる学童の責任は重い。
今年は大手の学習塾四谷大塚や兵庫県のスイミングスクールでも従業員による性加害が起きている。採用時に悪意ある加害者を見極めることは難しいという専門家の指摘もあるが、たとえ従業員が悪意を持った人物でも犯行ができない環境づくりや、起きてしまった事件への対応次第では、被害者を減らし、二次被害を防ぐことはできるはずだ。
筆者が2020年に取材したベビーシッターマッチングプラットフォームのキッズラインで発生した性犯罪事件とも共通するが、子どもとかかわる事業者には、利益や成長よりも、子どもが安心して通える場所を作ることを最優先してもらいたい。