件の“花マル事件”が起きたのは2022年6月29日だ。既に前年からいじめを受けていたA子さんが、ノートに〈わたしは死ねばいいのに〉、〈死ねばいいな、自分なんて〉等と自殺をほのめかすような文章を記載。X先生はこうした記述があったことを管理職や保護者に連絡することなく、花マルをつけ〈You can do it!〉と書き込んだのだ。
X先生は、なぜこうした書き込みをしたのか。聴取ではこう述べている。
「時間をとってA子さんとじっくり話をしようと思いながらノートを返却したが、その後、A子さんに花マルをつけてほしいと頼まれた。花マルをつけにくい内容であることから一度は断ったが、A子さんに頼まれたので、心配していることを伝えて花マルをつけ、励ましの意味を込めて〈You can do it!〉と記載した」
しかし、A子さんは一貫してこのようなやり取りを否定。報告書にも〈児童Aが自ら進んでそのような申出をするとも考え難い〉と記されている。
X先生は聴取に対してこうも述べている。
「A子さんがママに伝えないでなどと言っていた」
だが、報告書ではこれについても〈不自然さが残る〉として、こう記されている。
〈児童Aが母のことを教員に伝えるときは「ママ」ではなく「お母さん」と表現していた〉
「A子ちゃんが、『Cがウザいから無視しよう』と言ってきました」
その後も、A子さんとA子さんの両親がX先生に不信感を持つ出来事が頻出していく。
X先生の証言によれば、2022年7月4日、X先生のもとにBさんという児童が相談にやってきたという。
「A子ちゃんが、『Cがウザいから(一緒に)無視しよう』と言ってきました」
これを聞いたX先生は、すぐさまA子さんを図書室に呼び出し、こう尋ねた。
「クラスの友達関係のことで、何か思い当たることはない?」