〈わたしは死ねばいいのに〉

​〈いっつもつらい、死ねばいいな、自分なんて、いなければよかった〉

 奈良市の小学校の女子児童がノートに書いた自殺をほのめかす文章。担任教師はこの文章に花マルをつけ、「You can do it!!(あなたならできる)」と書き込み返却をしていた――。

今月6日、会見を開いた奈良市教育委員会(NHK NEWS WEBより)
「わたしは死ねばいいのに」と書かれたノートにつけられた花丸と「You can do it!!」の言葉

 今月6日、奈良市教育委員会は、市立小学校に通う女子児童が同級生から複数のいじめを受けていたことを公表し、「十分な調査を早期に行うべきだった」と不備を認めた。

 小誌は、教育委員会等がまとめた「いじめ重大事態等に関する調査報告書」を独自に入手。そこには、いじめ被害を受けた女子児童が、花マルをつけた担任教師とどのような関係にあり、なぜ関係が悪化していったのか等が詳細に記されていた。

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 調査報告書は70ページに及び、女子児童が受けた様々ないじめの実態や経緯も明らかにしている。蹴る、足を踏む、ぶつかる、鉛筆で背中を突く、手を捻り突き飛ばす……報告書では計11件のいじめを認知し、その上で〈学校及び教育委員会事務局の対応の不十分さにも原因があった〉ことも指摘している。

他の児童をかばったA子さんを「あんたらには関係ない!」と叱責

 もっとも注目すべきは自殺をほのめかす文章に花マルをつけた担任教師(以下、X先生)と、女子児童(以下、A子さん)との間で何があったのかという点だ。以下、報告書に書かれている内容を、文意を損なわない程度に加筆し、紹介していく。

A子さんの脚にのこったあざ

 X先生がA子さんの担任となったのは、2022年4月のこと。二人の間に最初に“亀裂”が入ったのは約2カ月後、6月の校外学習での帰りのバスの中での出来事だった。

 帰りのバスではおやつを食べてはいけないというルールを事前に伝えていたにも関わらず、ある児童がX先生に繰り返し「おやつ食べていい?」と尋ねたのだ。X先生はこの児童に対し、「あかんに決まってるやろ!」と厳しく叱責。このときA子さんは、叱責された児童をかばう発言した。それを聞いたX先生は、「あんたらには関係ない!」とこれまた厳しく叱りつけた。この一件以降、A子さんはX先生の指導に疑問を抱くようになったという。