MHRP社と三井物産は何と答えるか
「業務量は膨大。早朝に出勤し、帰宅するのが12時を越えることは当たり前でした」(Aさん)
しかし、同社から残業代が支払われることはなかった。結局、Aさんらは2021年9月までに3人全員退職。所管の三田労基署に相談した。すると、同年7月12日と19日に三田労基署はAIMS社への立ち入り調査を実施。そして同年8月、AIMS社に対し、「時間外割増賃金を支払っていない」として労働基準法第37条違反で是正勧告を行ったのだった。だが、これを受けてAIMS社が出した回答は「Aさんは残業代なし、Bさんは約13万円、Cさんは約2万円」。到底満足のいく数字ではなく、2022年1月、3人は同社を提訴したのである。
さらに、訴訟が続く中の2023年11月29日、三田労基署はMHRP社と名前が変わり、三井物産グループ入りしたAIMS社に対し、同じく労働基準法第37条違反で2度目となる立ち入り調査を行い、「指導票」を交付したのだった。
12月3日、MHRP社に質問状を送付したところ、次のように答えた。
——元従業員と未払い賃金をめぐり民事訴訟が続いているのは事実か。
「事実です」
——MHRP社が2021年8月に三田労基署から是正勧告を受けたのは事実か。
「事実です」
——2023年11月29日に三田労基署の立ち入り調査を受けたことは事実か。
「事実ではありません」(※だが、その後、「週刊文春」が三田労基署に事実関係を確認したところ、11月29日にMHRP社とMBK社に立ち入り調査をしたこと、指導票を出したことを認めた)
その上で、今後の対応についてこう回答した。
「弊社と致しましては法令に則り、労働基準監督署に対し全面的に協力する所存でございます」
一方、三井物産本体にも見解を尋ねると、次のような回答があった。
「令和3年8月31日に三田労働基準監督署より是正勧告を受けたこと並びにその後の民事訴訟について認識はしておりますが、孫会社において係争中の案件に関わることであり、これ以上の回答は控えさせていただきます」
現在配信中の「週刊文春電子版」では、三井物産グループの人材サービス会社の残業代未払いトラブルについて掲載している。元従業員Aさんら3人が訴える過酷な労働環境と残業代未払いの実態、残業代未払い訴訟の詳しい経過、三田労基署による2度の立ち入り調査の実態、そして11月30日にAさんら3人が三田労基署に告訴した内容、専門家が指摘する問題点などを詳しく報じている。
三井物産グループに深刻トラブル《労基署が“2度の立ち入り調査”と是正勧告》グループ唯一の人材サービス会社が元従業員に訴えられた「残業未払い請求額は4600万円超」
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