「ブルージェイズの存在が騒がれる直前に、ドジャースのロバーツ監督が大谷と面談したことを明かしました。球団関係者が交渉を公にしたのは初めてでしたが、一方のGMは『話せない』の一点張り。ドジャース内で意思統一ができていないのではと不安視されていたんです。その矢先にブルージェイズ側から1000億円超えの報道があり、敏腕記者といえども状況を読み違えたようです」(同前)
さらに興味深いこととして、「ブルージェイズ側からの好感触」という報道自体が代理人のバレロ氏サイドから出ていた可能性もあるのでは、という。
「代理人の手数料は契約総額の約5%と言われていて、1000億円級の契約となれば50億円を超えます。当初ドジャースの提示は6億ドル(約870億円)規模だったようですが、バレロ氏はそれを引き上げるために、ブルージェイズが約1080億円の用意があるという報道を利用したのではないでしょうか。最終的に1000億円台という近い条件になっているのもその説を後押ししています」(同前)
大谷ほどの巨大契約であれば、今回の合意は決して遅かったわけではない。それでも大谷は「決断までに長く時間がかかったことをおわびします」と謝罪したように、“長引いた”という感覚があるようだ。
それもまた、自身の決意が固まった時期と、バレロ氏が最高の条件をドジャースから引き出して最終的に合意に至った時期の間にギャップがあったからなのかもしれない。
大谷が選んだ「後払い」というチームへの配慮
一部米メディアによれば、大谷の年俸の多くは10年後の支払いになる。これはチームの総年俸が規定額を超えた場合に課される「ぜいたく税」を回避するためで、ドジャースが他選手の補強にお金を回すことができるようになる。これは大谷のアイデアだという。
「大谷は、自分の巨額契約がチーム強化の足かせにならないよう配慮したのでしょう。(契約を途中破棄できる)オプトアウトの条項も付いてないようですし、ドジャースでワールドシリーズを制覇するんだという本気度が伝わってきます」(同前)
大谷はインスタグラムにこうも記した。
「現役最後の日までドジャースのためだけではなく、野球界のために努力し続けたい」
今や世界のスポーツ界の顔になった大谷のこの思いは高校時代から変わっていないのかもしれない。