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難民が最も多く住むレバノンでも対立が

 1948年のイスラエル建国で「難民」となったパレスチナ人は、周辺のアラブ諸国にも多数住んでいる。最も多いのがレバノン。

『判決、ふたつの希望』(2018)は、レバノンで就業の自由がない難民男性と、極右のキリスト教徒男性との対立と和解をエモーショナルに描く。

イスラエル人監督の“贖罪”をアニメで描く

 2人の対立のきっかけとなるのは82年のイスラエルによるレバノン侵攻時に起きた、親イスラエルの民兵集団がパレスチナ難民を虐殺した事件。

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『戦場でワルツを』(2008)は、当時従軍したイスラエル人監督の“贖罪”をアニメ・ドキュメンタリーという斬新な手法で描いた。

『戦場でワルツを』 ©Bridgit folman film gang/Les films d'ici/Album/共同通信イメージズ

日本人ジャーナリストがひとりの難民女性に13年間密着

 ドキュメンタリーといえば『ガーダ パレスチナの詩』(2006)が出色。

 ジャーナリストの古居みずえが、ガザの難民キャンプに暮らすガーダというパレスチナ女性の、23歳から35歳までを追った作品だ。

 映画には過酷な境遇や伝統に縛られず生きたいと願うガーダの結婚や出産シーンも収められている。パレスチナ問題を複雑なものと捉える前に、そこには我々と何ら変わらない人々が暮らしているという現実を教えてくれる。