「当時、少年A(酒鬼薔薇)事件、未成年による猟奇殺人事件が世間を騒がせていました。円谷プロの満田かずほさんから『あんな事件が起きるのは子どもに対する親の、特に母親の愛情が足りないから。だから今回は思いきって、大きな母性愛で子どもたちを包んでくれる女性の隊長にしてみたんです。僕らは高樹さんに期待しています』と激励されました。子どもの頃から大好きで、憧れだった『ウルトラマン』に出られる喜びもあったんですが、この言葉をお聞きして自分に課せられた使命の大きさを痛感し、この役に真剣に向き合おうと改めて誓いました」
『ウルトラマンティガ』出演後も順調に活躍の場を広げていた高樹だが、2003年、突然の不幸に襲われた。「片側顔面痙攣」という難病を患い、芸能活動の休止を余儀なくされたのだ。
闘病中は清掃業等のアルバイト・パートなどで生計を立てていたが、医者に「手術には高い危険を伴う」と告げられ、躊躇していたという。それでも決断を急かすことなく在籍扱いで待ち続けてくれていた事務所の厚遇や、ファンからの励ましの手紙などを読み、芸能活動への復帰を決意。手術は無事成功し、リハビリ期間を経て2009年、日本テレビ系の『魔女たちの22時』で復帰を果たした。
6歳下のミュージシャンと離婚、現在は同い年の男性と再婚
私生活では31歳で初めての結婚。お相手はミュージカル『ダンスはうまく踊れない』で共演した6歳下のミュージシャンだった。しかし結婚10年目の99年に離婚すると、2013年に同い歳のIT企業役員と再婚し現在に至っている。
高樹の人気は国境を越えており、実相寺昭雄監督との想い出話を語るトークライブにも、20代の中国人の若者も多数来場し、高樹にサインをもらおうと行列を作っていた。彼らは中国で放送された『ウルトラマンティガ』を観て育ったのだろう。高樹と円谷プロのスタッフの願いは海を超え中国にも届いたのだ。
その高樹は今も凛々しく、60代とは思えぬ美しさをたたえている。官能的な顔、母としての顔、次はどんな一面を見せてくれるのだろうか。