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夫婦にちょうど良かった距離感

 今、主人は家から車で10分ぐらいのところにある私が保有していたマンションに住んで、週末だけ家に帰ってきます。週1回のことなんで、「肉が食べたい」言われればシャトーブリアン焼きますし、「水割り」と言われれば、作ります。むこうのマンションはゴミ屋敷になってるかもしれませんが、とりあえず夫は上機嫌で週明けに帰っていきます。

 これぐらいの距離感が私たちにはちょうどよかったわけですが、そう言うと「それは上沼さんに経済的余裕があって、マンション持ってるからできるんですよ」と言われます。自分では10代の頃から必死で働いてきたからこそと思ってますが、まあ誰もができるわけじゃないというのはその通り。

 では、どうしたってこの先もひとつ屋根の下で顔を突き合わせなければいけない夫婦はどうすればいいのか?

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※写真はイメージです ©AFLO

 私が女だからかもしれませんが、夫婦がうまくいかなくなる原因はほぼ男の側にあると思います。

たった5文字を言えない男の人

 世の男性の皆さんは、妻に「ありがとう」を言うてますか、という話なんです。たった5文字なんですけど、これを言えない男が本当に多いんです。あるいは妻が具合悪そうなときに「大丈夫か?」と声をかけてますか。男の人はすぐ「医者いけ」と言うんですけど、その前にかけるべき言葉があると思うんです。

「おいしい」も言わないですねぇ。ウチの主人もそうです。この間もスーパーに旬のマツタケが売ってたんで、それをバター炒めにしたんですけど、言わないですね。私が「これ、マツタケよ」と言うても無言。

「男は黙って」が許されるのはごく一部の人だけなんですよ。団塊世代の男たちは、自分のことを三船敏郎さんか高倉健さんぐらいに思ってるんですけど、あの人たちに沈黙が許されるのは、よう稼いではったからですよ(笑)。

 妻にしてみれば、ああやっぱりこの人やな、と思わせてくれるのは、夫の「言葉」なんです。それを出し惜しみするなら、AIとかロボットに取って替わられますよ。最近じゃロボットが文句も言わんと掃除してくれますから。