12月1日、第71回菊池寛賞の授賞式が都内のホテルにて行われた。
「文学、演劇、映画、新聞、放送、雑誌・出版、及び広く文化活動一般の分野において、その年度に最も清新かつ創造的な業績をあげた人、或いは団体」を対象とした賞で、今年の受賞者は歌舞伎役者の片岡仁左衛門さん、声優の野沢雅子さん、南海トラフ地震の発生確率水増し報道をスクープした東京新聞社会部の小澤慧一記者、侍ジャパンの栗山英樹前監督、そして作家の東野圭吾さんの5名だった(選考顧問は阿川佐和子さん、池上彰さん、保阪正康さん、養老孟司さんの4名)。
紫綬褒章、菊池寛賞、そして国内1億部突破
なかでも東野さんは、2023年4月に国内での作品総発行部数が1億部を突破、秋には紫綬褒章も受章、今回の菊池寛賞受賞と合わせて、2023年は特別な1年となった。
菊池寛賞の選考顧問の1人である阿川佐和子さんは、授賞式でユーモアを交えつつ、東野さんの功績をこう称えた。
「東野さんは、1985年に『放課後』(講談社文庫)で江戸川乱歩賞を受賞されてデビューしてから38年間、『秘密』『容疑者Xの献身』(ともに文春文庫)『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川文庫)『祈りの幕が下りる時』(講談社文庫)、まだまだたくさんありますが、ミステリーを中心とした素晴らしい優れた、そしてものすごく多くの読者を獲得した作品を次々にお書きになっておられます。何よりも驚いたのは、国内累計1億部を突破されたということ。1億部って、何?(笑) 100万部突破すれば万々歳の世界で、その何十倍なんだろう......もうよくわからない数字です」
この1億、というのは電子書籍のダウンロード数を含んでいない。1億部を突破した時点の作品数「100」で割ると、1冊平均で100万部が売れているという計算になる。驚異的な数字といえるだろう(最新刊『あなたが誰かを殺した』を入れると現在は101冊)。