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 また、朝鮮戦争休戦70周年のパレードで公開した無人水中攻撃艇「へイル(津波)」は、小型のクジラ並みの大きさがある。北朝鮮メディアによれば、2つのバージョンがあり、「ヘイル1」は41時間27分掛けて航続距離約600km、「へイル2」は71時間6分で約1000km。どちらも火山31を搭載する方針だ。航続距離の数値が正しければ、へイル2は、九州北部、本州、北海道の日本海沿岸に届く。

 一般に最高時速100km以上とされる魚雷や、遊泳時速50km余のクジラと比べると、ヘイル2の時速約14kmというのは速いとは言えない。これだけ遅ければ、標的への到達には時間は掛かるが、音の発生が抑えられ、ソナーなどのセンサーで捕捉し、海洋生物と判別することも難しくなりかねない。そして、潜航するヘイル2が相手では、そもそもミサイル防衛システムの範疇外である。

 冒頭で紹介した火星18型大陸間弾道ミサイルは、2023年4月に初めて試射された。北朝鮮メディアは噴射口が動く映像を公開した。防衛省も「北へ方向を変えながら約1000km程度飛翔」と発表。つまり、火星18は軌道変更可能な弾道ミサイルということだ。その推定直径は、2.1~2.2mとされるので、複数の火山31を搭載することが可能となるかもしれない。

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北朝鮮の兵器が高性能化すると…

 このように北朝鮮の核搭載用兵器が高性能化し、ミサイルの射程距離が約1万5000kmとなると、米国のみならず、英・仏を含めたNATO欧州諸国も射程内となる。

 国際条約で核兵器保有が認められている英・仏は、すでに、物理的には大西洋から北朝鮮を射程に収める戦略核兵器を配備している。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2024年の論点100』に掲載されています。