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視察する金正恩の姿も…「迎撃困難、豪速球かつ変化球」高性能化する北朝鮮“核兵器”の脅威とは

視察する金正恩の姿も…「迎撃困難、豪速球かつ変化球」高性能化する北朝鮮“核兵器”の脅威とは

2024/01/08

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 国際, 韓国・北朝鮮

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「剛速球かつ変化球」のミサイル

 KN-23弾道ミサイルやファサル巡航ミサイルは、2023年9月に進水した北朝鮮海軍の戦術核攻撃潜水艦「金君玉英雄」の10基の垂直ミサイル発射装置に搭載可能とみられる。地上より掌握しにくい海面下からの発射となると日米韓にとって厄介な存在となりかねない。

 また、北朝鮮のミサイル技術は、日本がまだ実用化していないミサイルに進んでいる。それは弾道ミサイル並みに速い一方、先端部をグライダーのようにして、これまでの弾道ミサイルのように比較的単純な楕円軌道を描かず、日米のミサイル防衛を避けるように飛ぶ極超音速滑空体(HGV)ミサイルだ。例えれば豪速球かつ変化球のように飛ぶ。

 2022年1月に発射実験された北朝鮮版・自称“極超音速ミサイル”のブースターは、液体燃料の火星12型中距離弾道ミサイル(推定射程:4500km)のブースターの全長を調整し転用。ブースターでマッハ5以上の極超音速に加速してから、切り離された先端部は、HGVとして、低く、途中で大きく左にカーブした。この機動性はミサイル防衛をかわすことに繋がるとみられる。

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北朝鮮のミサイル発射を報じるニュースの画面 ©時事通信社

 北朝鮮のHGVミサイルには、他に、2021年に試験発射された火星8型とその発展または改称した火星12B極超音速滑空体ミサイルがある。これらのブースターは、液体燃料の火星12型中距離弾道ミサイルのブースターの全長を調整、転用しているとみられる。

 火星8や火星12Bに火山31を搭載できるかどうか不明だが、核弾頭搭載可能といわれてきた火星12の推定直径は1・8mで火山31の直径を上回る。火星8の推定射程3200kmが実現されるならば、日本全域が射程となる可能性も否定できない。