日本は世界最長寿の国となり、人生100年時代を迎えています。ところが「目の寿命」ははるかに短く60~70年ほど。十分な準備をしておかないと人生の後半に目の病気や視力障害で生活に支障をきたしてしまうかもしれません。世界中から治療を求めて患者の絶えない眼科専門医が世界基準の目の守り方を記した『100年視力』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けします。(全2回の後編/前編を読む)

写真はイメージ ©️AFLO

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目をまもる「20分:20秒:20フィート」の法則

 ブルーライトや紫外線が目に与えるダメージについて述べましたが、現実に目を向ければ、私たちの生活は「光」によって支えられていて、目は光を電気信号に変えることでものを見ていますから、光なしでは「見る」は成立しません。

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 ただし「目にやさしい光」はあまりない。そこで「目にやさしく、光を見る工夫」が欠かせないのです。

 ブルーライトや紫外線からなるべく被害を受けないよう、光害を防御して生活しましょう。

 ブルーライトの場合は、パソコンやスマートフォンなどを利用する際、あまり目に近づけず、適切な距離を保ってください。

 パソコンの場合はモニターと40センチ以上、スマートフォンやタブレットの場合はモニターと30センチ以上の距離を開けるようにしましょう。

 そして仕事などで長時間、パソコンを利用する場合などは休憩をはさみましょう。

 アメリカの眼科学会の通信に「20-20-20」という方法が推奨されていました。これはブルーライトを発するモニターを20分見たら、20秒間、20フィート(約6メートル)以上の遠くをぼんやり見て目を休めましょう、というものです。

 調節に使う毛様体筋をリラックスさせ、視細胞機能も回復させます。

 

 昨今は、網膜視細胞をまもるために、ブルーライトをカットするメガネをかけている人も増えていて、目をまもる意識の高まりを感じます。

 未成年がスマートフォンやタブレットを利用する場合は、周囲の親や大人達が「1日最長1時間」を超えないように管理するのが望ましいのです。子どもは判断できませんが、利用時間が長くなるほど、目の障害のリスクは大きくなってしまいます。