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月1~2回、家に来て執拗に触れてくる

 父親が家に来るのは不定期で、月1~2回。いつものスキンシップからはじまって、胸や陰部に執拗に触れてくるようになった。やがて手だけでなく、舌を使って舐めてくるようになる。

「裸にするだけじゃなくて、おっぱいを吸ったり。性器をいじったり、みたいなこともはじまった。それで何回目からは父親も下半身を出して、おっぱいを吸いながらマスターベーションをしだした。精液が出るまで擦る。もう、その段階ではすごく嫌だったけど、お父さんだから嫌と言ってはいけないのかな、みたいなことを思っていました。明確に嫌だとハッキリと思ったのは、私を触りながら母親の名前を呼ぶようになってからです」

 母親は「文子」という名前だった。父親は膨らみはじめたばかりの乳房に触れ、「文子、文子」と言いながら乳首を吸う。そして、ズボンとパンツを脱いでマスターベーションをする。母親の名前を囁かれながら、しばらく我慢していると父親の悶絶する声が聞こえて畳に精液が飛び散る。

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 ここまで話をしてくれた美智子さんの様子から、性的虐待の話を続けても精神的に大丈夫そうだったので、父親が具体的にどう触っていたのかを聞いていく。 

「どうして、こんなことをするの?」

「おっぱいを吸いながら下半身を触る。尿道というか陰部の表面を触って、当然子どもだから指なんて入らない。なので、いつも撫でて出すみたいな感じ。右手で自分のを擦って、顔が胸にあるから声が聞こえる。それで終わったら、すぐに持ってきたお菓子を置いて笑顔で帰っちゃう。

 どうして、こんなことをするの? と思っていました。なにが気持ちいいのかもわからないし、ただ父親はいつもふわっとした顔をしていた。だから、いいことなんだって最初は思っていた。表情がふわっとしているから我慢できたといえば変だけど、最初は性的なことの嫌悪感よりも、父親が私のことを気にかけて家に来てくれるうれしさみたいなほうが大きかった。でも、母親の名前を言うので嫌になった」

 父親の性的行為とマスターベーションは、ずっと続いた。よくないことだとわかっていたので、母親にはなにも言えなかった。そして、美智子さんに対する大人たちの性的虐待は、父親の悪戯だけでは終わらなかった。

「その頃、友だちが『鈴木(仮名)先生、美智子ちゃんのことをよく見にくるよね』って。『覗いていつも探しているよね』」って。小学5年生のときにほかの学年の先生が、よく私のことを覗きにくるようになった。ストーカーみたいな感じで」 

 現存する足立区立の小学校での、51年前の話になる。鈴木教師は30代後半、メガネをかけた地味な教師だったという。美智子さんは、いつも赤いネクタイをしていたのを覚えていた。